トップページに戻る番組コンセプト

Chapter 1 (放送:2003/05/17 〜 >>放送を聴く
宇宙の起源へ挑む

NASAが宇宙の年齢は137億歳と算出・・・マイクロ波非等方性探査衛星WMAP (ダブリューマップ)の観測結果
これまで宇宙年齢は120〜150億年の間で確定していなかった
宇宙がこの先膨張するのかやがて収縮するのかにも結論 → 膨張を続ける


宇宙誕生38万年後の温度の高低 = 物質の密度の濃淡
  ↓
星、銀河、銀河団などの宇宙の大規模構造へ発展

そのほかにわかったこと

・宇宙は平坦である・・・宇宙空間に三角形を書くと内角の和が180度になる。地球は平坦ではなく閉じているので内角の和は180度より大きくなる。

・宇宙の構成は普通の物質が4%、ダークマターが23%、ダークエナジーが73%

 宇宙が無から生まれた直後の様子と、最近の宇宙の様子はよく調べられていたが、宇宙の誕生から少し経って以降これまでのちょうど中間付近の歴史は明らかになっていなかったが、今回のWMAPの観測で明らかとなった。

 宇宙は無から生まれ、インフレーションと呼ばれる急激な膨張の後にビッグバンを起こし 膨張を続ける。ビッグバンまでの要した時間は1秒よりはるかに小さく、現在の私たちの感覚では生まれた瞬間に一連のイベントが続き、1秒後には原子核ができ始めた。宇宙誕生から2分程度までは、あらゆるものを突き抜けるニュートリノでさえまっすぐに進めないほど混沌とした状態。宇宙誕生後38万年たってやっと光が直進できるようになった。

 星が輝き始めた時期はこれまで未確定だったが、宇宙ができて2億年後と決まった。最も古い銀河は9億年ごろにはすでに存在していた。

 日本の研究者による「すばる」を用いた観測で、宇宙誕生から12億年経った頃の銀河が多数見つかり 、このこりには宇宙の大規模構造 ができていたことが示唆された。つまり、宇宙誕生からわずか12億年 で宇宙の大規模構造ができていたらしい。ただ、できた時期は明らかになってきたがその仕組みはまだ明らかでない。ダークマターが関与していることは明らか。そうでなけれWMAPで観測されたようなわずかな揺らぎから宇宙の大規模構造がこんなに早くできる理由は説明できない。

 WMAPは、今後3年間運用される予定で観測を続ける。ビッグバン直後の宇宙の状態や、宇宙の構成成分の4分の3を占める「ダークエネルギー」が何なのかについて研究を進める。

今週の用語集

【WMAP】
 宇宙背景探査衛星COBEの後継機、COBEの10倍の分解能と10倍の感度、直径5メートル、高さ4メートルの衛星、4年間運用予定

【COBE】
1992年に宇宙マイクロ波背景放射の中に宇宙初期の揺らぎを観測

【宇宙マイクロ波背景放射】
宇宙初期の情報を持った電磁波。宇宙の進化を解明する鍵を持つ。宇宙誕生から38万年後の姿を100万分の1度の温度の揺らぎとして持っている。

【ダークエナジー】
このエネルギーが宇宙を加速度的に膨張させていて、この膨張は将来も続く。ダークエナジーが何なのかはまだわかっていない。