インターネット科学情報番組
■今週の午後おや日記で東北大学の「すばる望遠鏡」での観測結果について触れてみました。 |
Chapter-48 宇宙旅行がまた一歩近づいた 2004年6月21日、民間企業の宇宙船が初めて宇宙空間に到達しました。これまで宇宙開発は1961年に旧ソ連のボストーク1号が人類初の有人宇宙飛行に成功して以来、国家の手によって行われるのが常でしたので、今回民間企業が宇宙飛行に成功したという快挙は今後の宇宙観光時代の幕開けといってもよい出来事といえます。
この飛行は実は、「アンサリXプライズ」という民間宇宙飛行を世界で最初に成功させた人や企業に贈られる予定の賞を獲得するための試験飛行でした。アンサリXプライズというのはアメリカの宇宙研究学者や起業家の個人によって設立されたもので、賞金は1000万ドルです。1000万ドルを獲得するための条件は3人の人間を乗せ、高度100キロメートルの宇宙空間へ同じ機体で2週間以内に2回成功させるというもので機体の開発や打ち上げをすべて民間の力で行うことが条件です。 アメリカのスペースシャトルはこれまでの宇宙開発の歴史の中で数少ない機体を再利用する宇宙船のひとつですが、一機ごとの打ち上げサイクルは数ヶ月で一回の打ち上げごとに機体を分解して整備を行います。今回求められている条件である同じ機体で2週間以内に2回という打ち上げサイクルは安価に宇宙旅行を実現させる条件を意味しているとも言えます。それはこのアンサリXプライズが複数の乗客を乗せて継続的に運航できる宇宙船を開発するその動機付けになることを意図したものだからです。
アンサリXプライズにはアメリカ、カナダ、ロシアなどの7カ国から26チームがエントリしていましたが、実際に宇宙飛行に挑戦したのはこのスケールド・コンポジッツ社のみでした。 この技術の商業ベースでの利用についてもすでに目処が立っており、英ヴァージン・アトランティック航空などを持つヴァージン・グループは、この技術を買い取り、世界初の宇宙観光会社をつくると発表しています。宇宙船を5機つくり、2007年にも商用宇宙飛行を実現させるという計画なのだそうです。
現在の宇宙観光ビジネスはロシアのソユーズを使ったものがすでに提供されており、費用は一人22億円程度です。スペースシップワンによる宇宙飛行は当面一人2000万円程度になると予想されていますが、数年後には200万円程度にまで下げられる予定となっています。 |