このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。
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Chapter-10 ウィルヘルム・レントゲンはガラス管の中に電極を封入し、電圧をかけながらガラス管の中を徐々に真空にする真空放電の実験を行っていました。その最中に、ガラス管から離れた場所にある机の上に置いておいた蛍光塗料を塗った紙が光っている事に気が付きました。 この光は真空放電中にのみ観察する事ができ、紙を隣に持って行っても依然として光を放ちました。これが当時発見されていなかった道の電磁波の影響である事を見抜き、数学で未知を意味する「X」を冠し、X線と呼びました。 X線はあらゆる物を通過する事にすぐに気が付きましたが、ある時ウィルヘルム・レントゲンが自分の手をX線にかざしてみるとそこに出来た影には自分の骨が映し出されていました。 あまりにも鮮明に骨の様子を映し出す事が出来るため、1895年に彼が論文を発表するやいなやこの技術は欧米に瞬く間に広がり、体内に残留した弾丸の発見などに積極的に利用されました。 日本においても論文発表の翌年、1986年にはGSバッテリーで知られる島津源蔵(島津製作所創業者)によってX線の実験が成功し、現在ではX線CTの世界市場シェアは日本のメーカーでほぼ独占され、日本国内では海外では考えられないほどX線CTが普及して疾病の早期診断に大きく貢献しています。 このように非常に有用なX線を発見したにもかかわらず彼は特許をあえて申請しなかったために、晩年は第一次世界大戦で敗戦したドイツ国内で非常に苦しい生活を送り、1923年、その生涯を困窮の中で閉じました。 |