インターネット科学情報番組
■毒が無く、ペットとして飼われることもあるミドリフグの遺伝子マップが公開されました。ミドリフグは私たち脊椎動物の仲間の中では遺伝子が最も小さいために格好の研究対象となっています。また、ミドリフグの遺伝子にはゴミ遺伝子が少ないために、容易に人間の遺伝子との照合が可能で、すでに900個もの遺伝子が人間とミドリフグの間で関連づけられています。 ■文部科学省が子どもの情動を科学的に分析する検討会をつくりました。この検討会では主に突然キレて暴力をふるうなど、感情をコントロールできない子どもについての研究を行い、一時的に怒りなどを引き起こす心の動き「情動」を解き明かすと共に、学校現場に還元するのが狙いです。 ■歳を取ると骨の密度が低下し、骨粗鬆症となる危険があります。骨粗鬆症は容易に骨折を起こし生活の質を大幅に低下させる病気です。このような疾患に罹患することを防ぐために男性は1日2本のビールを飲み、女性は1日グラス2杯のワインが有益であるとの学会発表がありました。 ■アメリカにおけるファーストフードと肥満の関係が初めて科学的に関連づけられました。ファーストフードを接種することが肥満につながることはこれまで経験的に理解されていましたが、意外にも科学的に両者の関係を調査した報告はありませんでした。 |
Chapter-53 夢でシミュレーションする私たち 夢に関する最新の研究成果によると、私たちは夢を使って様々な出来事への対処方法をシミュレーションしている可能性が浮上してきました。 カナダの心理学専攻の学部生470名が、自分の見た夢を1週間記録しました。記録の内容はその夢の内容に加えて、その夢をどのくらいよく思い出すことができたか、さらにその日の実際の出来事についても記録し、夢と1週間の実際の出来事との関係を調べました。 その結果、明らかに現実の出来事と対応がとれており、それはあたかも、夢が現実の世界における問題事項に回答を提案しようとしているかのようでした。 この研究に参加した男性の数が少なかったために、統計的な有意差はなかったものの、男性よりも女性の方がこの傾向はより強いと思われました。また、夢の内容についても男女差があるという報告があり、男性と女性の夢の見方が異なることも明らかになってきています。 人間の眠りには、夢を見るレム睡眠と深く眠っているノンレム睡眠があり、一晩のうちにこれらが交互に繰り返し表れ約90分が眠りの 1周期となっています。ノンレム睡眠中は心身ともにぐっすり寝ており、心臓の鼓動や、呼吸も安定し、ノンレム睡眠の意義は脳を休ませることであると思われています。レム睡眠は身体は眠っているのに、脳は活動している状態です。 なぜ夢を見るのかという点については、科学的には未だ十分に解明されているとは言えない状態にあります。しかし、たとえば「夢のリハーサル説」と呼ばれる説では夢の中において、現実世界で起きるであろう様々なシチュエーションを設定し、どのように行動すればどのような結末になるのかをシミュレーションしているのではないか、と言われています。現象的には子供の頃に特に怖い夢をよく見るのはこれから大人へと成長して行くにあたって体験するかもしれない怖い出来事への対処方法を学ぶために、あえてそのような怖いシチュエーションの夢を見ているのだと考えることも可能です。 参考文献 |