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科学コミュニケーター 中西貴之
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[最近の放送]>>バックナンバー  
Chapter-57 犬ががん検診をする時代が来るかも  
Chapter-56 ドクターイエローのテクノロジー  
Chapter-55 タイムマシンを作る  
Chapter-54 青いバラ  
Chapter-53 夢でシミュレーションする私たち  
Chapter-52 超高速インターネット衛星 WINDS 
Chapter-51 ビールに放射線防護作用が  

 

 

Chapter-58 最新の宇宙探索成果 
2005年3月12日

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 H-IIAロケット7号機が2005年2月26日18時25分に、種子島宇宙センターから打ち上げられました。このロケットには運輸多目的衛星新1号(先日、ひまわり6号と命名)が搭載されており、現在この衛星はニューギニアの上空3万6000キロの静止軌道に入り、秒速3キロメートルで地球の自転と同期して周回しています。気象衛星「ひまわり」はご存じの通り2年ほど前に気象観測ができなくなっていて、現在はアメリカの中古衛星で何とか観測をしている状況です。予定では今月中に最初の画像が日本に届く予定で運用開始は5月末、ぎりぎり梅雨、台風シーズンに間に合いそうです。

 ひまわり6号は5年間の運用が予定されており、運輸多目的衛星2号機も今年度中には納入される予定で同じくHII-Aで打ち上げられることになっています。計画では日本は3機の運輸多目的衛星を所有し、一機を本務機、二機を予備機として予備機のうちの一機は欧州宇宙機構・NASAと融通しあって運用する覚書が交わされています。そのためこの衛星にはHRITと呼ばれる気象データを衛星回線を使って電送する世界統一規格の通信機能を備えています。けれども、三号機の打ち上げは今のところ未定です。

 日本の天体望遠鏡「すばる」が光り始める前の恒星の撮影に成功しました。この星は地球から500光年離れた場所にあり、誕生後1万〜10万年しかたっておらず、現在は宇宙空間のガスを集めて成長している最中です。この星を研究することによって星の形成過程を解明する大きな手がかりが得られそうです。

 次も日本の天体望遠鏡「すばる」の成果ですが、国立天文台などの研究グループはこれまでで最も遠い約127億光年のかなたにある銀河の集団「銀河団」を発見したと発表しました。宇宙が誕生したビッグバンは137億年前ですので、「すばる」が発見したのは宇宙誕生からわずか10億年後の生まれたての銀河団であるといえます。この銀河団は6個の銀河が集まってできており、これを調べることによって宇宙の形成過程の解明につながるものと思われます。

 ハワイのケック望遠鏡が中心核を二つ持つ銀河を発見しました。この銀河は50億光年かなたにありますが、中心角が二つあることから最近銀河同士の合体があったと考えられます。また、強いX線を放出していることから銀河中心で活発に物質を飲み込む大質量ブラックホールの存在が予測されます。また、この銀河の形はつぶれたようにゆがんでいましたが、これは中心には流布辰の巨大ブラックホールに銀河を構成する物質が強烈に吸い込まれているためであると思われます。


 X線天文学が得意な分野は、中性子星やブラックホールの様子、超新星爆発の観測、銀河の中心角や銀河団の観測などですが、X線は地球の大気に遮断されてしまい地上での観測は困難なので、人工衛星による大気圏外での観測が中心となります。X線天文学の分野では日本は世界のリーダーで、これまで4機のX線天文衛星を打ち上げ多くの実績をあげてきましたが、現在、5機目のX線天文衛星ASTRO-EIIが今年の夏の打ち上げを目指して準備が進められています。ASTRO-EIIは、宇宙で最大の天体である銀河団が衝突・合体する様子や巨大ブラックホールに吸い込まれる直前の物質から放射されるX線を観測し、宇宙の構造や進化の謎を詳しく観測することとになっています。もともと、2004年の冬に打ち上げ予定でしたがHII-Aロケットの成功に全勢力を注ぐという理由で打ち上げが延期されていました。ASTRO-EIIの本体は、直径2メートルある八角柱であで、太陽電池パネルを含めると幅5.4メートル。全長は6.5メートルとなります。

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