インターネット科学情報番組



科学コミュニケーター 中西貴之
アシスタント BJ

私たちは難しい科学を正しくわかりやすく伝えます。

トップページ番組コンセプトバックナンバー

本も書いてます





ネット上の書店で検索していただくか、お近くの書店カウンターでお問い合わせ下さい。くりらじ直営の「Amadion」でも販売しています。

 このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。
 この番組は週替わりで最新の科学情報をわかりやすく解説しています。番組コンセプトはこちらをご覧ください。>>クリック 
 
 番組を視聴するにはリアルプレーヤー、または MP3に対応したプレーヤーをPCにインストールする必要があります。お使いのPCにリアルプレーヤーがインストールされていない方は、リアルネットワークス社のサイトから無料で再生ソフトをダウンロードすることが出来ます。
 >>無料ダウンロードできるページ

この番組へのご意見ご要望をお寄せください >> メール送信

[その他の話題]

1日5杯の緑茶で血管弾力性が改善

 1日あたり5杯、または800ml以上の緑茶を摂取することで、血圧に関係するとされる脈波伝播速度が下がり、血管の弾力を示すFMD(Flow Mediated Dilation:血流の増加に依存した血管拡張)が向上するという発表が 2005年の日本循環器学会において報告されました。
 現代の日本人は高血圧や糖尿病、血中コレステロールの増加といった心血管イベントが起きやすい状態であるにもかかわらず、欧米に比べて心臓病などの心血管イベントの発生率が低い。これは日本独特の嗜好飲料である「緑茶」が血管に何か影響を与えているのではないか? という仮説を検証したもので、演者らは「緑茶に含まれるポリフェノール」には血管に弾力を与える効果があるのではと推測しています。
>>日本循環器学会  

リラックスできるチョコレートをグリコが発売

 江崎グリコでは、リラックスに役立つといわれるアミノ酸の一種「GABA(ギャバ)」を多く含んだチョコレート『メンタルバランスチョコレート GABA』4品を2005年5月10日(火)、関東地方で新発売いたします。
 GABAは、正式名称をγ(ガンマ)-アミノ酪酸(Gamma-Amino Butyric Acid)と言い、動植物の体内に広く存在しています。この成分は人間の脳内に存在する神経伝達物質です。また、リラックスに役立つといわれているアミノ酸の一種です。
>>江崎グリコのプレスリリース  

キログラムの定義が変わるかも

 キログラムの基準は 1889年に開催された第1回『国際度量衡総会』で、白金・イリジウム合金の円柱が、キログラムを定義する国際基準であると宣言された。この円柱はフランスの国際度量衡局(BIPM)に保管され、数個の複製が世界各国に配られています。このキログラム原器は厳重に保管しているものの、誇りが退席して重さが変わったり、天災などによって失われる可能性もあります。
 そこで、基準となる物体の重さではなく、物理学的な情報によってキログラムを定義しようというのが今回の動きです。最終的にはアボガドロ定数とプランク定数という有名な2つの普遍定数のいずれかの値を定めることによって再定義が行われるのではないかと思われます。

[最近の放送]>>バックナンバー  
Chapter-58 最新の宇宙探索成果  
Chapter-57 犬ががん検診をする時代が来るかも  
Chapter-56 ドクターイエローのテクノロジー  
Chapter-55 タイムマシンを作る  
Chapter-54 青いバラ  
Chapter-53 夢でシミュレーションする私たち  
Chapter-52 超高速インターネット衛星 WINDS 
Chapter-51 ビールに放射線防護作用が  

 

 

Chapter-59 宇宙ラーメン 
2005年3月26日

今週の放送を聴くダウンロードする次回の放送

 NASAのスペースシャトルが今年の5月から飛行を再開することが決まっています。コロンビアの空中爆発事故以来2年3ヶ月ぶりの飛行で、今回は31回目の飛行となるディスカバリーが使われ、事故再発防止のために組み込まれた機能のテストと国際宇宙ステーションへの物資の輸送が主な任務となっています。今回の飛行にはJAXA所属の宇宙飛行士野口聡一さんが乗り組み、船外活動を行うことになっていますが、日本人の搭乗と共に興味を引くのが今回のフライトではインスタントラーメンが宇宙食の一つとして採用されていることです。

 インスタントラーメンは20世紀最大の発明の一つだと言われていますが、ご存じの通り、日本が世界で始めて1958年に日清食品が発売した食品です。

 宇宙ラーメンの開発は同じく日清食品によって開発されるのですが、2002年4月にさかのぼります。2002年4月15日のプレスリリースによると

弊社は、宇宙開発事業団が推進する国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」内で食べられる日本食開発のフィジビリティスタディ(可能性調査)のアイデア募集に宇宙食ラーメン「Space Ram(スペース・ラム)」を提案し、このほど選考会で正式採用となったものです。

 国際宇宙ステーションは現在、米国、ロシアをはじめとする15ヶ国で共同建設が進められています。2005〜6年には日本実験棟「きぼう」が打ち上げられる予定で、その際、約3ヶ月間にわたり日本人飛行士がステーションに滞在して建設作業に携わることになるため、栄養面、味にすぐれ、食べ慣れた日本食が必要とされていました。また、日本人飛行士からめん食を希望する声が強いため、今回の「Space Ram」の開発提案となったものです。

 宇宙ステーションやスペースシャトル内でめん類を食べるためには、米国航空宇宙局(NASA)の厳しい品質規格をクリアするとともに、搭載されている調理器具に対応した加工形態、パッケージが必要です。また、無重力の空間でおいしく食べるためには、めんや具材の形状、スープの種類、栄養価などについてさまざまな工夫が必要となります。

 日清食品は、世界初のインスタントラーメンを発明した安藤百福(ももふく・現会長)の創業理念によって、常に創造的企業であることを社是としてきましたが、今回の研究も「宇宙食を開発したい」という創業者自身の強い意向を受けて「究極の即席めん」開発に取り組むことになったものです。

 さらに将来は、宇宙食開発のノウハウを生かして、さまざまなオケージョンに対応した商品開発や新素材、新包装技術の開発によって、医療や新しい保存食品への新規応用をめざします。

とのことで、そのわずか4ヶ月半後の8月下旬、世間があっと驚くようなスピードで宇宙食ラーメン『スペース・ラム』がほぼ完成しました。

 NASAの宇宙食のメニューの数は200種類ほどあるそうですが、ラーメンはこれが初めてのエントリーだと言うことです。無重力状態で食べられるように麺は一口大の固まりになっていてスープにも粘性が持たせてあるそうです。また、スペースシャトルないで利用できるお湯の温度は70度までですのでその温度でおいしく戻せるように麺の原料の配合をくふうしてあります。スープはカレー、みそ、醤油の3種類が作られましたが、日清食品が当初準備したのはしょうゆ味で、残りの2つ、カレー味とみそ味は野口宇宙飛行士からのリクエストに応えて開発したとのことです。具はエビ、肉、ネギ、卵なのだそうです。

 さて、今回のスペースシャトルミッションにもふれておきたいのですが、先ほど今回のミッションの目的の一つは「事故再発防止のために組み込まれた機能のテスト」だと話しましたが、コロンビアの事故では打ち上げ時に期待の一部が損傷し、それを確認するすべがないまま帰還した結果空中分解に到りましたので、今回のディスカバリーでは打ち上げ後に宇宙空間で機体の損傷の有無を確認すること自体が重要なミッションとなっています。方法はディスカバリーに新たに搭載された確認用のカメラによる確認が計画通りに可能かどうか、また国際宇宙ステーションのカメラを使った期待の点検も実施されます。また、今回の船外活動においては破損が発見された際にそれを修復するテストが行われることになっており野口宇宙飛行士も損傷に対応するために開発された機材のテストと期待に損傷が見つかったと想定した修復テストも行われます。

 このテストでは多数の機材を身体に取り付けた船外活動となり、宇宙服の分厚い手袋を装着した状態でシャトルの補修を完了しなければならずこれまでになく困難なミッションになることが予想されています。

 Amazon.co.jpアソシエイト