Chapter-19
2003年11月23日
科学ニュース新聞斜め読み
科学者ら220人、南極観測の継続を訴える
現在南極観測船として活躍している「しらせ」はすでに就航から21年が経過しており、そろそろ後継船の建造準備に取りかからなければならない時期ですが財政事情が厳しく観測中断も危ぶまれる事態となっています。後継船の建造のためには搭載するヘリコプターも合わせて五百数十億円を要すると思われますが、南極を観測することは地球環境問題を考える上で欠かすことの出来ないことであり、技術先進国日本の責務とも言えるものです。
情報収集衛星搭載H2A 6号機29日に打ち上げ
政府は2003年11月13日、打ち上げが延期されているH2A 6号機を29日に打ち上げると発表しました。6号機には情報収集衛星2機が搭載されています。
補足
これまでのH2Aロケットに搭載された主な衛星を紹介します。
1号機 : レーザー測距装置
2号機 : 民生部品実証衛星
3号機 : データ中継技術衛星
4号機 : 地球観測衛星「みどりII」
5号機 : 情報収集衛星
6号機 : 情報収集衛星
今後の予定 : 運輸多目的衛星、陸域観測技術衛星、月周回衛星「セレーネ」、超高速インターネット衛星 |
すばる望遠鏡が最も遠い銀河を発見
国立天文台などの日本のチームがハワイ・マウナケア山頂の「すばる望遠鏡」を使って地球から128億3千万光年離れた場所にある銀河を発見しました。これは宇宙誕生からおよそ9億年後を見ていることに相当します。この成果によって世界で発見された最も遠い銀河上位10位のうち9個までが「すばる」によって発見されたものとなりました。
補足
すばる望遠鏡は、標高4200メートルのハワイ島マウナケア山頂にある大型光学赤外望遠鏡です。1991年に建設が開始され、1999年にファーストライトを迎えました。 |
太陽系から最も近い銀河が発見されました
イギリスを中心とした国際チームが太陽系からわずか2万5千光年しか離れていない銀河を発見しました。これは太陽系から最も近いところにある銀河です。コンピューターでこの銀河の動きを解析したところ、私たち太陽系の含まれている銀河系に飲み込まれつつあることもわかりました。この銀河を構成する星の数は10億個程度と見積もられています。
補足
すばる望遠鏡は、標高4200メートルのハワイ島マウナケア山頂にある大型光学赤外望遠鏡です。1991年に建設が開始され、1999年にファーストライトを迎えました。 |
ボイジャー1号、ついに太陽系の果てに到達か
26年間宇宙を旅し続けているNASAの惑星探査機「ボイジャー1号」がついに太陽系の果てに到達した模様です。現在の位置は太陽から130億キロ離れた位置です。この付近は末端衝撃波面と呼ばれ、太陽風が太陽系外の恒星間ガスとぶつかるところで、ここを通過すれば太陽の影響の及ばない本当の星間空間となります。ボイジャー1号は今後およそ20年をかけて末端衝撃波面を通過するものと思われています。
補足
ボイジャー1号のエネルギー源はプルトニウムを燃料とする発電機で、2020年頃までは機能しそうです。また、ボイジャー1号との交信は2030年頃まで、姿勢制御は2040年頃まで可能だということです。 |
アンデス山中に巨大望遠鏡・現地起工式
宇宙の謎に迫るために日米欧が共同で建設する世界最大級の電波望遠鏡「アルマ」の起工式が標高5000メートルの現地で開催されました。「アルマ」の性能はハッブル宇宙望遠鏡や「すばる」の10倍以上となる予定で光では見えない宇宙の暗黒ガスや星雲などの様子を調べ、宇宙誕生の謎に迫ることが期待されています。
今週の人工衛星 第2回
電波天文衛星 「はるか」
「はるか(MUSES-B)」は1997年に日本が打ち上げた電波天文衛星です。
衛星を使って宇宙空間から宇宙を観測することはすでに広く行われていますが「はるか」は世界で初めての「スペースVLBI」という手法を採用しました。
望遠鏡右派基本的に口径が大きいほど観測には有利です。斜め読みで紹介した「アルマ」は小口径の望遠鏡80機を並べて大口径の望遠鏡として機能させるものですが、小口径の望遠鏡を並べるにしても地上では限界があります。「はるか」はアメリカ、スペイン、オーストラリアの地上観測局の協力のもと宇宙空間と地上を結んで地球の直径の3倍もの基線を持つ巨大な電波望遠鏡を構成することに成功しました。
「はるか」自身にも高度な技術で展開した直径8メートルもの主鏡や地上との超高速双方向通信リンクなど世界最先端の技術がふんだんに採用されています。
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