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2009年8月8日
Chapter-250 国際宇宙ステーション日本実験施設きぼう
日本時間2009年7月19日午前8時40分、若田光一宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)の日本実験棟「きぼう」に最後のパーツを取り付けて完成させました。これまでも宇宙空間での実験はスペースシャトルの貨物室に搭載した実験室で行うことができましたが、ISSではより広いスペースと充実した実験器具を使って、何よりも長期間、実験を続けることができます。数年を要する実験でさえ可能ですので、宇宙空間が生物の世代交代に与える影響などこれまでは実施できなかった壮大な実験に取り組むこともできます。
「きぼう」は6つのユニットから構成されています。
o船内実験室
o船外実験プラットフォーム
o船内保管室
o船外パレット
oロボットアーム
o衛星間通信システム
船内実験室
船内実験室は外形4.4m、内径4.2m、長さ11.2m、重さ14.8tの円筒形です。室内は、地上とほぼ同じ空気組成と温度、湿度、気圧が保たれていますので、宇宙飛行士は普段着で快適に活動することができます。船内実験室には重力が非常に小さい環境を利用した、物質や生命科学の実験を行う装置の他、「きぼう」の機能を維持管理し、電力、通信、空調の制御および実験の支援などする機器も搭載されます。
船外実験プラットフォーム
船外実験プラットフォームは幅5m、長さ5.2m高さ3.8m、重さ4.1tの箱形です。船外実験プラットフォームは宇宙空間での実験を行うためのユニットで、宇宙空間にさらされた環境を利用した実験の他、地球や宇宙の観測、地球や衛星との通信実験などを行うことが想定されています。
船内保管室
船内保管室は外径4.4m、長さ4.2m、重さ8.4tの円筒型で、倉庫として使用されます。内部には「きぼう」のメンテナンスに必要な道具や装置、実験試料、機器の故障時に備えた予備部品などを保管することができます。
船外パレット
船外パレットは、船外実験プラットフォームで使う装置やユニットを載せて、船外実験プラットフォームへのユニットの搭載や移動、回収を効率よく行うために使用されます。
ロボットアーム
ISSには複数のロボットアームが搭載されていますが、「きぼう」にも実験や施設管理作業に使用する日本独自のロボットアームが付いています。ロボットアームは、「親アーム」と「子アーム」から成り、親アーム単独で船外実験装置などの大型機器の交換などに使用したり、親アームの先端に子アームをつけて実験操作などの細かい作業を行ったりします。
衛星間通信システム
衛星間通信システムは「きぼう」の運用を効率的に行うため、日本のデータ中継技術衛星「こだま」を経由して筑波宇宙センターとの間で双方向通信を行う日本独自の通信装置です。
ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタです。
▼iPS細胞由来のマウス誕生
中国の研究チームが、マウスの受精卵の細胞をiPS細胞に置き換え、iPSマウスを誕生させました。この研究は、細胞分裂が進んだマウスの受精卵で、細胞の成長を停止させる処理を行い、黒色のマウスの体細胞から作ったiPS細胞を注入し、仮親の子宮で育てたところ、黒色のマウスが誕生し、遺伝子もiPS細胞と一致したというものです。。
これまでもiPS細胞から子マウスの誕生は確認されていましたが、これまではiPS細胞と受精卵の細胞が混ざったものを成長させたキメラマウスでした。
▼神経幹細胞の注射でアルツハイマー病が改善
米カリフォルニア大学アーバイン校の研究チームが、アルツハイマー病のマウスに神経幹細胞を移植することで、マウスの認識力を回復させることに成功したと発表しました。
注入した神経幹細胞は、BDNF:脳由来神経栄養因子と呼ばれるタンパク質を分泌し、既存の神経組織から新しい突起を伸ばし、ニューロン同士の接続を増強するように働いていたということです。BDNFの機能を人為的に抑制するとニューロンの増強効果は失われました。このことは記憶と神経機能に対する神経幹細胞の効果にBDNFが重要な役割を果たしていることを示唆しています。
▼講演会の録音音源配信中のお知らせ
有料版ヴォイニッチの科学書 ではおびおの講演会の録音とそのときのパワーポイントのハンドアウトを配布中です。2009年7月25日配信分として、7月18日に山口県立山口図書館で開催されました「ちょこっとサイエンス講座・宇宙人はなぜそのヘンを歩いていないのか」を公開しています。90分間の講演に前後の雑談がこちらの方の公開期間は8月25日までとなっています。すでに会員になっていただいている方のお手元には届いているかと思いますが、2009年8月25日の配信終了までに登録していただければバックナンバーとしてダウンロードできます。
▼新刊の紹介
おびおが書いた科学の本が7月24日頃、全国の書店に並びます。今回のテーマも前回に引き続き食品ですが、前回の「食品汚染はなにが危ないのか」では食品添加物などに着目しましたが、今回は食品中の血となり肉となる成分について考えてみました。
太陽の恵みをいっぱいに浴びて育った野菜や果物、丸々と太った家畜から得られる肉類。それらが私たちの体の中で緻密に役割分担しながら、私たち人間を動かしているメカニズムを、ちょっとのぞいてみたいと思います。
タイトル:食べ物はこうして血となり肉となる ~ちょっと意外な体の中の食物動態~
技術評論社 2009年7月24日頃発売 1659円
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