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2009年8月15日
Chapter-251 金縛りについて
金縛りは医学的には「睡眠麻痺」といい、疲労などで睡眠のリズムが乱れると起きやすいことがわかっています。睡眠麻痺を起こしたときの身体の動きや脳波、筋肉の働きを観察した研究によると、金縛りを体験している最中の人は金縛りの間も、特に苦しがる様子は観察されず、身体の動きも手先がかすかに動く程度であることがわかっています。
ところが、脳波の様子は普通の夢を見ている状態とは大きく異なることが分かっています。金縛りはレム睡眠という浅い眠りの時に起きますが、金縛りが起きると眠っているにもかかわらず、アルファ波という目が覚めているときの脳波が大量に出ており、そのパターンは起きているときと区別ができないほどです。
金縛りにあっている人が見ていると思っているものは夢なのですが、通常の夢とは脳の状態が全く異なり、違う夢の見方をしているようです。アルファ波が起きているときと同じであることは、身体は眠っていても脳は普通に起きていることを意味していて、それが夢を現実のように感じる理由だと思われます。脳は起きていても、脳からの身体を動かせという命令は脊髄で遮断され、身体は寝ていますので。身体が思うように動かないのは当然で、これを金縛りの最中には異常事態と思ってしまうようです。
ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタです。
▼降水を衛星で観測
JAXAはNASAと共同で地球全体の降水を人工衛星で観測する計画に乗り出します。地球全体の雨や雪の量を最短で3時間事に記録し、異常気象の原因解明や洪水警報の発令、天気予報の精度向上を目指します。衛星は本体をNASAが製造し、観測装置をJAXAが制作します。日本のH2Aで2013年にJAXAが打ち上げる予定です。
▼歯の再生医療に成功
東京理科大学らの研究チームがマウスを使った事件で歯の再生医療に世界で初めて成功しました。再生された歯は神経がつながっているため、痛みや食感を感じ、モノを咬むことのできる固さでした。今回の実験ではマウスの胎児から取った歯の元になる幹細胞(歯胚)を成長したマウスの抜歯後に埋め込みましたが、親知らずなどを使えば人間にも応用できる治療方法です。
▼深海に無人の実験棟を建設
海洋研究開発機構が日本海溝の水深4000メートル以上に深海に世界初の無人実験棟を建設する計画をまとめました。微生物の培養や資源探査、海洋による二酸化炭素吸収量の測定など産業から地球温暖化まで幅広く活用する予定です。1棟の大きさは縦横2メートル高さ4メートルで、これを最大10基建造する予定です。
▼新刊の紹介
おびおが書いた科学の本が7月24日頃、全国の書店に並びます。今回のテーマも前回に引き続き食品ですが、前回の「食品汚染はなにが危ないのか」では食品添加物などに着目しましたが、今回は食品中の血となり肉となる成分について考えてみました。
太陽の恵みをいっぱいに浴びて育った野菜や果物、丸々と太った家畜から得られる肉類。それらが私たちの体の中で緻密に役割分担しながら、私たち人間を動かしているメカニズムを、ちょっとのぞいてみたいと思います。
タイトル:食べ物はこうして血となり肉となる ~ちょっと意外な体の中の食物動態~
技術評論社 2009年7月24日頃発売 1659円
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