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Chapter-29 花粉症の原因となる植物はおよそ60種類が知られています。その中で最も多くの人が悩まされているのがスギ花粉症です。 鼻粘膜に花粉が付着すると花粉からアレルギーの原因となるアレルゲンが身体の中に侵入してきます。このアレルゲンは自分の身体から見ると異物と認識され、抗体が体内で作られます。抗体というのは私たちの身体に免疫を与える物質で、アレルゲンを「非自己」として排除し、命を守る働きを持っているのですが、時として、私たちにとって不都合な反応をすることがあります。その例の一つが花粉症で、抗体が作られた後、さらに花粉が吸い込まれアレルゲンが体内に侵入すると先ほど作られた抗体とアレルゲンが反応し、その結果としてくしゃみ、鼻水、鼻づまり、あるいは目の症状が現れます。 キーワード「感作(かんさ)」「脱感作(だつかんさ)」 スギ花粉に対する感受性は劣性遺伝ですので世代を飛び越して子孫に遺伝します。また、スギ花粉症とは直接関係のないある特定の遺伝子を持っている人がスギ花粉症になりやすいという報告もあります。また、環境因子としてディーゼル車の排気ガスに含まれている微粒子がアレルギー患者を増やしているとの報告もあります。 花粉症の治療には、症状を抑える対症療法と感作を弱める減感作を目的としたものの2通りがあります。後者の減感作はアレルゲンエキスを毎週1回注射することによってスギ花粉に対する反応性を落とそうという治療で概念的にはアレルゲンを徐々に身体に注入することによって免疫機能を担う細胞の反応性を変えようとするものです。 これらの方法に変わる遺伝子工学技術を用いたスギ花粉症治療方法が多く開発されています。 (1)ペプチド免疫療法 |