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2009年8月29日
Chapter-253 水にも構造がある
透明なコップに水を入れて観察してみると、水は見た目的には水分子がただひたすらぎっしりと詰まっているように見えますが、実は、塩や砂糖が粒状の構造を持っているのと同じように、水も構造を持っているのです。理化学研究所を中心とする研究グループが水分子の電子状態の変化を軟X線発光分光で調べた結果、水には2種類の構造があり、それらが混じり合って存在しているということが発見されました。
均一な液体だと思われていた水が、微細な構造を持つことや、温度変化による水の状態の変化は、2種類のこれらの微細構造を水分子が言ったり来たりすることによって起きていることが解明されたことは、生物の中での水の役割、化学反応における水の役割、物が水に溶けるメカニズム、などさまざまな分野における水の理解に大きな影響を及ぼすと考えられます。
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>>253.pdf
ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタです。
▼彗星からアミノ酸
NASAは彗星探査機「スターダスト」がヴィルト第2彗星の尾から採取したチリの中にアミノ酸が存在することを発見されたと発表しました。アミノ酸は生物の体内で情報の伝達をしたり、タンパク質の材料となったりする物質ですので、宇宙と生命の誕生の関わりについて重要な情報を提供する観測結果となります。
▼大人の恐竜同士は戦わない
恐竜時代を紹介する書籍で、弱肉強食の象徴のように肉食恐竜が大型の草食恐竜を襲っているイラストを目にすることがありますが、どうやら現実にはそのような大人の恐竜同士の戦いはなく、肉食恐竜はもっぱら恐竜の子供を食べていたようです。死んだ肉食恐竜の胃に未消化のまま残されていた動物の骨は子供の恐竜のものばかりだったことから推測されています。
▼惑星同士の衝突を観測
NASAの赤外線天文衛星スピッツァーが、他の恒星のまわりで惑星どうしが衝突したことを示す証拠をとらえました。衝突はくじゃく座の方向約100光年の距離にある恒星HD
172555のまわりで、水星と月ほどの大きさの天体との間で数千年前に起きたと考えられます。
▼パーキンソン病の遺伝子治療
パーキンソン病患者の脳にウイルスを使って遺伝子を組み込む国内初の遺伝子治療を実施している自治医科大学が治療を行った患者6人のうち5人の運動機能が回復したと発表しました。パーキンソン病は、脳の神経伝達物質ドーパミンが不足し、手足にふるえなどが生じる難病で、今回の治療方法はウイルスにドーパミンを作る酵素の遺伝子を組み込んで患者の脳内に注入し、ドーパミンの合成を脳内で行わせようとするものでした。半年間の治療によって体を動かせなかった患者が、日常生活に支障がないまでに回復したケースもあったということです。
▼新刊の紹介
おびおが書いた科学の本が7月24日頃、全国の書店に並びます。今回のテーマも前回に引き続き食品ですが、前回の「食品汚染はなにが危ないのか」では食品添加物などに着目しましたが、今回は食品中の血となり肉となる成分について考えてみました。
太陽の恵みをいっぱいに浴びて育った野菜や果物、丸々と太った家畜から得られる肉類。それらが私たちの体の中で緻密に役割分担しながら、私たち人間を動かしているメカニズムを、ちょっとのぞいてみたいと思います。
タイトル:食べ物はこうして血となり肉となる ~ちょっと意外な体の中の食物動態~
技術評論社 2009年7月24日頃発売 1659円
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