インターネット科学情報番組



科学コミュニケーター 中西貴之
アシスタント BJ

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[今週の Openig Talk]

[最近の放送]>>バックナンバー  

Chapter-75 ホエール・フォールの不思議な生態系 
Chapter-74 アクチビンによる発生分化 
Chapter-73 シリーズ人工衛星「スロッシュサット・フリーボ」 
Chapter-72 太陽系誕生の謎に迫れ・ディープインパクト
Chapter-71 オゾン層の現状
Chapter-70 刺さないミツバチの完成 
Chapter-69 量子テレポーテーション 
Chapter-68 究極の再生治療 他 
Chapter-67 慢性疲労症候群 
Chapter-66 3500年前のミイラ 
Chapter-65 炭酸飲料好きも遺伝子が決める  
Chapter-64 英語文法中枢   
Chapter-63 シリーズ人工衛星「JWST」     
Chapter-62 ヒトの脳の進化は特別な出来事だった 
Chapter-61 延命薬はできるのか? 
Chapter-60 天気が悪いと腰が痛い・・・は本当?
 
Chapter-59 宇宙ラーメン  
Chapter-58 最新の宇宙探索成果  
Chapter-57 犬ががん検診をする時代が来るかも  
Chapter-56 ドクターイエローのテクノロジー  
Chapter-55 タイムマシンを作る  
Chapter-54 青いバラ  
Chapter-53 夢でシミュレーションする私たち  
Chapter-52 超高速インターネット衛星 WINDS 
Chapter-51 ビールに放射線防護作用が  

[この番組の担当は・・・]

ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

Chapter-76 テザー衛星でスペースデブリを掃除する 
2005年8月20日

今週の放送を聴くMP3をダウンロードする前回の放送次回の放送

 地球周回軌道上にはこれまで打ち上げられたロケットや人工衛星の残骸が大量の宇宙ゴミ・スペースデブリとして浮遊しています。これらが運用中の人工衛星や宇宙ステーションに衝突する速度はピストルの弾丸の数十倍、毎秒一〇キロメートルにも達し、その破壊力は一〇センチメートルのデブリの衝突で衛星は破壊されるという研究者もいます。確認されているスペースデブリは一〇センチメートル以上のものが七〇〇〇個、一ミリメートル程度のデブリなら数百万個もあります。

 推進装置でデブリを除去するのは燃料確保の観点から困難で、現在精力的に研究されているのがエレクトロダイナミックテザー衛星です。テザー衛星は親衛星と子衛星が金属製のひも(エレクトロダイナミックテザー)で結ばれ、普段は子衛星とテザーは親衛星に収納されています。デブリに子衛星を密着させテザーを伸ばすと地球の磁場の中を金属テザーが移動することによって電流が流れ、電流と磁場の相互作用でローレンツ力が発生し、進行方向逆向きに力が加わります。減速によって、遠心力よりも重力の方が勝るようになりデブリは軌道を下げようとしますので、この時に子衛星をデブリから切り離すとデブリはそのまま大気圏へ落下します。

 発生した電流に対して逆向きの電流を流すと衛星は軌道を上げます。このように、燃料を使わずにデブリの落下と自身の軌道制御を行うことができます。エレクトロダイナミックテザーは磁場から電源を取り出すことによって宇宙空間での燃料問題を解決しようという発想で古くから検討されていましたが、発生する高電圧に耐えるテザーの材料がみつからず、ローレンツ力によって乱れる姿勢をどう制御するのかなどの問題がありました。近年、材料や制御技術の発展によって再び着目されている宇宙技術です。

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