Chapter-126
2006年9月9日 (前回の放送|次回の放送)
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サイエンスニュースフラッシュ
心筋梗塞の発症しやすさの指標となる3つ目の遺伝子
理化学研究所と大阪大学を中心とした研究チームが心筋梗塞の発症のしやすさに指標となる3つめの遺伝子を発見しました。この遺伝子は誰にでも普通に存在している炎症を抑える分子を分解するたんぱく質の一部を合成する遺伝子でしたが、この遺伝子の塩基配列のうち1カ所が変わるだけで、心筋梗塞になる危険率が約1.5倍に高まったということです。
日本の月探査計画
JAXA・宇宙航空研究開発機構は7月31日に月探査計画を発表しました。この発表によると2020年ごろに日本人を月面に着陸させ、2030年ごろには常時2、3人が長期滞在する日本独自の月面基地を建設する計画になっています。そのための基礎研究として、2007年に打ち上げる月周回探査衛星「セレーネ」に続き、2013年頃に月着陸型無人探査機、2015年頃に資源調査を行う無人探査機と、今後10年間に無人探査機を3機程度打ち上げる考えです。
タイタンで確認された液体の循環
土星探査機カッシーニと着陸型子機ホイヘンスが収集したデータによると、土星の衛星タイタンでは雨が降り、地面に液体が流れてたまり、やがて蒸発して雲になるという、液体の循環が存在していることがわかりました。これまで、液体の循環が知られている天体は地球だけでした。
また、カッシーニが上空から撮影したタイタンの陸地の映像には北極周辺に幅150キロメートル、長さ450キロメートルほどの非常に平らな地形が2カ所黒く写っているのが確認され、これはメタンの湖ではないかと考えられています。このような地形はすでに南極周辺でも見つかっており、湖の候補である平らな地形は数十カ所におよびます。今後、これらの湖のような地形の観測を続け、気候変動に応じて水位が変わるか、強い風が吹けば波が立つか、そういったことを観測することによって湖であることを確認する計画になっています。
ワクチンでやせる
大阪市立大学の研究チームがやせるワクチンを開発するきっかけになるかもしれない研究成果を発表しました。ラットを使った実験でワクチンを接種することにより食欲促進や脂肪蓄積などの働きがある「グレリン」と呼ばれるホルモンの働きを弱め、体重の増加を抑えることに成功したというもので、ワクチンも肥満解決への一つの道になるかもしれないとのことです。
日本最大の望遠鏡建設
日本国内では最大となる、3.8メートル望遠鏡の建設が京都大学の主導で岡山県で始まります。2011年から観測開始の予定で、星や惑星形成領域の星間水素分子の分布の研究やブラックホールの謎を解明するような観測に携わる予定です。
せっかくできた神経細胞も勉強しないと死んでしまう
大人になっても神経細胞は新たに生まれ、学習や記憶に使われた神経細胞だけが生き残って神経回路に組み込まれる可能性が高いらしいことがわかりました。このことは、脳をいつまでも健康に保つためには大人になっても勉強することによって、神経細胞を生み出させることが重要であることを示唆しています。
恒星を持たない惑星の連星系発見
ヨーロッパ南天天文台の観測によって、恒星を持たない惑星だけの惑星系が初めて見つかりました、これは木星の7倍の質量の天体と14倍の質量の天体がお互いに周りを回っているものでした。惑星は原始星をとりまく円盤から生まれるので、中心に恒星が存在し、その周りに惑星が存在するのが一般的だと思われていましたが、最近では惑星でありながら独立に存在する天体も発見されていました。ところが、これまで発見された恒星を持たない惑星は、惑星1個が単独で存在している天体でしたが、今回初めて、惑星同士で惑星系を構成している天体が見つかったということです。
子育てをする父親は繊細な神経を持つ
雄が育児をすることで知られているマーモセットを使った実験の結果、育児に直面した雄は、神経細胞の構造が変わって神経細胞の細胞同士がつながる構造も、密度が高くなる変化が生じることがわかりました。このことは子育てにふさわしいきめ細かな神経回路ができていく可能性があることを示唆しています。
[最新科学おもしろ雑学帖で今回の番組関連する話題は]
36番 月誕生のメカニズムで最も有力なものは
42番 土星の衛星タイタンに生物はいるか
84番 脳を構成する細胞たち
87番 脳の神経細胞は減り続けるわけではない
[他局の科学番組放送予定]
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