Chapter-119
広い宇宙に地球人しか見あたらない50の理由の中の10の理由
2006年7月22日 (前回の放送|次回の放送)
今週は「広い宇宙に地球人しか見あたらない50の理由の中の10の理由」と題して本を紹介したいと思います。
今週紹介する本は青土社刊、「広い宇宙に地球人しか見あたらない50理由」原作者はスティーヴン・ウェッブ、日本語訳は松浦俊輔さんです。
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ノーベル賞物理学者のエンリコ・フェルミは世界最初の原子炉を完成させ、原子核分裂の連鎖反応の制御に史上初めて成功した科学者で、自然に存在する元素に中性子を照射することによって、40種類以上の人工放射性同位元素を生成させることに成功し、1938年にノーベル物理学賞を受賞しました。
ある日「もし恒星間航行を可能とする宇宙人がいるなら、なぜこの地球にやって来ないのか?」と、お昼ごはんを仲間の物理学者と食べながらふと考えたとされています。フェルミが異星人はいると考えていたのか、いないと考えていたのかは記録には残っていないようですが、おそらくフェルミは高度な文明を持つ異星人はいると信じており、それならばなぜ地球に彼らが来ていないのか思索を巡らせていたのではないかと思われます。
この本の問題提起はフェルミによってなされましたが、本の内容は著者があるケースでは科学的、あるいはSFチックに様々な説をピックアップしてまとめたものです。本の内容のすべてが科学的に成立する説ばかりではありませんが、一つの問題に対して、こんなに様々なアプローチの方法があるのか、ということを感じることも重要かと思います。
50の理由の中の10の理由
・私たちが野生動物を保護区で自然状態において守っているように、超高度な宇宙文明があって地球はその自然保護区に指定されている。私たちは宇宙の中の自然保護区で守られている貴重な動物だ。
・星と星の間はあまりに遠いので、どんなに文明が発展しても恒星間旅行はできない。技術的には可能になっている文明があったとしても実際には行わない。
・宇宙に高度な文明はたくさんあるが、みんな SETI@home に熱心で受信するばかりで、誰も電波を発信していない。
・空がいつも曇っている、あるいは夜がない、など、特殊な事情により宇宙という概念がない。
・地球の文明は宇宙で最も早く芽生えた文明だ。その他の文明は今後生まれてくる可能性はあるが、今はひとりぼっちだ。
・地球のように何億年もの間温暖な気候を保ち、生命が進化する時間の余裕を与えられた惑星は他にない。
・地球は木星の引力によって小惑星の衝突から守られているが、これは宇宙の中でも非常に幸運なことで、他の惑星は小惑星の衝突が頻繁で文明が発達する時間がない。
・地球にはプレートテクトニクスがある。これによって磁場ができて有害な太陽風から地球は守られているが、プレートテクトニクスは宇宙でも珍しいものなので、他の星では主星から有害なエネルギーが降り注ぐため生命が生まれない。
・惑星の環境がどうであれ、生命の誕生そのものが滅多に起きない現象だ。
・超すごい宇宙文明があって、哲学や芸術は著しく発展していたとしても、科学が発展するとは限らない。
[最新科学おもしろ雑学帖 で今回の番組関連する話題は]
30番 宇宙での知性を持った生物探査
35番 地球に生命が誕生したしくみ
38番 火星大気のメタンは生物存在の証?
47番 太陽系外惑星系で地球方惑星の発見
[エンディング・他局の科学番組放送予定]
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