ライブ & MP3orREALオンデマンド & ポッドキャスト
このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 ■翔泳社”ポッドキャスティング入門”でオススメ番組として紹介されました。 [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
Chapter-100 小惑星イトカワに着陸した後に12月8日に燃料漏れが原因と思われる姿勢の乱れが発生し、通信不能に陥っていた探査機「はやぶさ」の現在の状況が大まかに把握できたとJAXA宇宙航空研究開発機構が発表しました。 [プルサーマルについて] 九州電力が玄海原子力発電所3号機で2010年度までを目処にプルサーマルを実施する方針を決定しました。また、四国電力が、愛媛県の伊方原子力発電所で計画しているプルサーマルについて、国の原子力安全委員会の審査会から「安全性は確保される」とする審査結果が発表されました。その他、関西電力が福井の高浜原発で、東京電力が新潟の柏崎刈羽原発、福島の福島原発で実施するために住民との対話が続いています。 ではプルサーマルとは何でしょうか。 原子力発電所で使用した後の使用済みウラン燃料にはまだ燃料として使用できるプルトニウムが含まれています。 収支で言いますと、通常のウラン燃料は核分裂しやすいウラン235が3パーセントで残り97パーセントは核分裂しにくいウラン238です。これを発電に使用すると先ほどお話しした中性子の捕獲が起きます。中性子捕獲によってウラン238のうち2パーセントがプルトニウムになります。発電に使用した燃えかすとも言える使用済み核燃料は3パーセントが再利用できないゴミになりますが、残りの97パーセントの中には燃え残ったウラン235の他に、発電過程で生成したプルトニウムとプルトニウムにならずに核分裂しにくいまま残ったウラン238からなっています。この97パーセントの部分を再利用してMOX燃料の原料とします。MOX燃料そのものもリサイクルが可能で、フランスや日本において試験的に実施されていますが、商業的に発電に使用された使用済みMOX燃料の取り扱いについては扱いがまだ決まっておらず、2010年頃から検討が開始されることになっており、それまでは貯蔵されることになっています。 プルサーマルのメリットとしてはウランの利用効率が高まり、化石燃料の節約ができるプルサーマルは資源に乏しい日本においては重要なエネルギー供給手段であること、高レベル放射性廃棄物の量が少なくなることなどが挙げられ、逆にプルサーマルを実施しない場合、核兵器の材料となるプルトニウムが国内にどんどんたまってしまうという問題も指摘されています。 デメリットとしては、万が一事故が発生した場合には従来のウラン燃料のみによる発電所よりも被害がはるかに大きくなる、たとえばガンによる死亡数は数十から数百パーセント高くなる計算結果があることなどが挙げられています。また、MOX燃料はエネルギーが高いため事故発生の確率を高めるとの発表もあります。 [エンディング・他局の科学番組放送予定] |