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ビジネスジャーナルで美味しい料理の科学と化学・・・「化学に恋するアピシウス」連載中です。 2017年3月4日 第643回 手の届かないところにあるブドウ イソップの寓話に「すっぱいブドウ」があります。ウィキペディアによると「キツネが、たわわに実ったおいしそうなぶどうを見つける。食べようとして跳び上がるが、ぶどうはみな高い所にあり、届かない。何度跳んでも届かず、キツネは怒りと悔しさで、「どうせこんなぶどうは、すっぱくてまずいだろう。誰が食べてやるものか。」と捨て台詞を残して去る」というお話です。 の意味としては「手に入れたくてたまらないのに、人・物・地位・階級など、努力しても手が届かない対象がある場合、その対象を「価値がない・低級で自分にふさわしくない」ものとみてあきらめ、心の平安を得る。フロイトの心理学では防衛機制・合理化の例とする。」ということなのですが、これって本当にそうなの?と考えた科学者がいました。 一般的に知られている解釈としてはキツネの負け惜しみとして描かれます。でも実はそうではなくて、跳び上がってブドウをとるのは労力的に大変なことなので、脳の中で特殊な画像処理が行われて、キツネには実際にブドウが熟れていないものに見えていて、それに対して冷静に「あ、あれはすっぱくてまだ食べられない」と判断した可能性もあるのではないか、ということです。 これまで、 ・脳へ情報の入力(=ブドウがどのような状態か視覚で認識すること) ・脳から指令の出力(=ブドウをとるために身体を動かす) の神経回路はそれぞれ独立なものであると考えられてきました。 国立研究開発法人情報通信研究機構、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、ウェスタンユニバーシティの研究チームはその定説が正しいかどうかを確かめる実験を行いました。 その結果、見えたものに対してなんらかのアクションが必要な場面においては、沢山の体力を使う必要があると判断されるとそもそもモノが見えにくくなるような脳内画像処理が行われていることがわかりました。どうやら、見ているものが一体何なのかを判断するとき、私たちは視覚情報のみを利用しているわけでなく、判断への対処に至るまでのすべてを利用して行っていることが明らかになりました。 イソップ寓話集の成立については謎が多く、長い歴史の中で多くの寓話が収集・収載されて成立したのではないかと考えられています。古代の歴史家ヘロドトスの著した歴史書「歴史」においてはイソップは紀元前6世紀の知的な奴隷階級の人物だったとされています。それが2600年もの時代を超えて現代の科学研究と結びつくのは興味深い話です。 「ヴォイニッチの科学書」は2001年に前身「ムートン」として配信を開始した世界初の日本語によるインターネット科学ラジオ番組です。毎週ホットな話題や枯れた話題をわかりやすいフレーズに乗せて配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore やインターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。Webからの登録はこちらから。 有料版は株式会社音バンクが発行しているオーディオブック番組です。定期購読はFebe!のサイトからお申込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配布資料を提供しいます。 |
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