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Chapter-86
[学ぶほど頭が良くなる仕組みがわかった] 学ぶことで頭をよく使えば学習能力が高まることは経験的に知られていますが、この過程において脳内でどのような変化が起きているのかはよく知られていませんでした。今回の研究で脳細胞の活動リズムを取っている脳波の一種であるシータ波が、脳内の記憶を司る領域である海馬に到達すると記憶形成を担うニューロン(神経細胞)の成長(分化)が促進されることがわかりました。 脳の中心部分奥深くにあってタツノオトシゴ(=海馬)のような形をした海馬と呼ばれる領域は記憶の形成に関わっていますが、この過程では新しいニューロンが次々に生み出されており、たくさん勉強するとたくさんニューロンが生まれることは観察されていましたが、その仕組みはわかっていませんでした。 脳は100億以上のニューロンによって成り立っていますが、それらが勝手に行動しては一つの生命体としての統制がとれません。これらをコントロールしている、いわばオーケストラの指揮者にあたるのが脳波で、脳の各ニューロンは脳波のリズムに合わせて活性が変化しています。脳波にはシータ波、アルファ波、ベータ波、ガンマ波がありますが、このうちシータ波が海馬に到達するとニューロンの生成(分化)が活発になることがわかりました。また、過去の研究において、学習をたくさんしている最中、特に新しいことを学んでいるときにはシータ波が出ていることがわかっており、学習によるシータ波の発生が海馬を刺激しニューロンを分化させるという一連の流れが解明されました。 また海馬において分裂を繰り返す前駆細胞(=ニューロンになる前段階の未成熟な細胞)が周囲のニューロンとの間に情報伝達のコンセントであるシナプスを形成してニューロンに成長する前の段階から周辺細胞と情報のやりとりをしていることがわかりました。 今回の番組は東京大学のプレスリリースを元に作成しました。 |