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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 ■アストロアーツ社刊「星ナビ」2007年2月号で紹介されました(2007年1月) [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
Chapter-142 銀河の中心にある巨大ブラックホールの正体 銀河中心のブラックホールに関する研究成果の主なものは次の通りです。 1987年 アメリカ・カーネギー研究所のアラン・ドレスラー博士と、ミシガン大学のダラスト・リッチストーン博士を中心とする研究チームが銀河中心の巨大ブラックホールをアンドロメダ銀河とその晩銀河M32で初めて発見。 1994年 当時文部省宇宙科学研究所のエックス線天文衛星「あすか」が天の川銀河の中心に巨大ブラックホールがあることを示唆する観測結果を発見。 1997年 天の川銀河に巨大ブラックホールが存在する有力な証拠である天の川銀河系の中心部からの反物質の巨大な「噴水」をNASAが発見。 1997年 京都大理学部の小山勝二教授らの研究チームが「あすか」の観測結果を基に、天の川銀河の中心から300光年離れた場所に巨大ブラックホールでなければ説明できない強度のエックス線を反射しているガス状星雲が存在していることを発見。 1998年 ドイツのマックスプランク研究所のチームが天の川銀河中心付近の恒星の動きを赤外線で観測した結果、それらが中心に向かって最大秒速1000キロで吸い込まれていることがわかり、天の川銀河系の中心部に、太陽の質量の260万倍の巨大ブラックホールが存在する証拠を見つけたと発表しました。 2002年 NASAのエックス線天文衛星「チャンドラ」が天の川銀河の中心付近の撮影に成功 2003年 アメリカジェット推進研究所のアイゼンハウアーらは天の川銀河中心付近の公転する恒星の軌道を観測し、天の川銀河の中心は太陽の300万倍の質量を持つ巨大ブラックホールが存在するとされました。 銀河の中心ブラックホールは小さなブラックホールが何らかの方法でこの大きさまで成長することによって形成されたはずです。また、最近の研究では宇宙誕生からわずか10億年程度の段階で太陽の数十億倍もの巨大ブラックホールができている銀河もあり、このような短期間で巨大ブラックホールを生み出すメカニズムについては研究者の間でも様々な説が提唱されていて結論が出ていません。 可能性として、銀河中心のガスがブラックホールに落ち込む、ブラックホールに近づきすぎた恒星がブラックホールに落下する、銀河同士が衝突してブラックホールも合体する、などが考えられますが、恒星の落下や銀河同士の衝突は観測の頻度はさほど高くないことがわかっています。 天の川銀河の中心にあるブラックホールは現在は成長しておらず非常に静かな状態です。日本の「あすか」の観測成果によると、今から数百年前までは天の川銀河の中心ブラックホールも活発に活動していて、今よりも100程度明るかったのではないかと考えられています。 2005年 名古屋大学大学院理学研究科天体物理学研究室の福井康雄教授の研究グループが銀河系中心にあるとみられるブラックホールに向かって、巨大なガス雲が移動しているのを世界で初めて観測したと発表しました。このガス雲が天の川銀河中心に到達し、総質量の1%がブラックホールに落ち込んだ場合、超新星100万個分のエネルギーが一気に解放されたと同じ大爆発が発生するはずで、計算では、爆発は約1000万年後に起きるとされました。 [他局の科学番組放送予定] □ディスカバリーチャンネル □サイエンスチャンネル (SkyPerfecTV 765ch) |