【iPad アプリ発売開始】 【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】 京都大学山中伸弥教授を中心とする研究グループが、マウスの皮膚細胞に4つの転写因子を導入することで、ES細胞と同様な万能性を持つiPS細胞を作製できることを発見したのは2006年8月のことでした。iPS細胞は、すでに開発されていた受精卵がやや成長した胚盤胞由来のES細胞が抱える倫理的問題、つまりそのまま子宮で成長すれば個体となるはずの胚盤胞を破壊してES細胞は作成されるという根本的問題を回避できる技術です。iPS細胞もES細胞も、様々な組織の細胞へ変化させる万能性を持っているので、再生医療や創薬開発などへの応用が期待されています。 通常、iPS細胞は実験用細胞として市販されており、入手が容易なヒト線維芽細胞などに特定の転写因子を導入して作製します。けれど、この場合、iPS細胞作製の効率が低い、つまり膨大な量の線維芽細胞を使って実験を行ってもわずかな数のiPS細胞しか得られないこと、目的細胞を得るために1カ月程度かかること、iPS細胞から作製した目的細胞の増殖能力が暴走してガン細胞になってしまう危険性があることなどの問題が指摘されており、医療応用を実現するためには解決すべき課題が多くあります。これらの問題を解決する手法として、「iPS細胞を経由しないで、ある組織の細胞に加工を施し、直接別の組織の細胞を作製する」という方法が注目されています。この方法は、これまでにいくつかの例が報告されていますが、どのような転写因子を導入すれば細胞の変化を誘導できるかの具体的な指針がなく、あらゆる細胞に適用できる普遍化された方法の開発が求められていました。 ◇ ◇ ◇ (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。)
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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。
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