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DREAM SHIP Science Talk Live
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【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】
2012年1月7日

Chapter-374 さよならベテルギウス  

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 ベテルギウスはオリオン座の左肩に位置する赤くて明るい星です。地球からの距離がわずか640光年しか無いこの星は非常に年老いた星であることは以前から知られていましたが、最近の高性能な望遠鏡による観測で、そう遠くないうちに超新星爆発しそうな状況にあるらしいことが分かってきました。大きく重い星はその一生の最後に大爆発を起こしてよりいっそう明るく輝く超新星となりやがて光を失います。もしベテルギウスが爆発したならば、冬の夜空を代表する赤い星ベテルギウスは私たちの視界から消えてしまうことになります。

 ベテルギウスの直径は太陽の約1000倍もあるので、ハッブル宇宙望遠鏡などを用いれば表面の様子を観測することができます。ベテルギウスの大きさは、太陽の位置にベテルギウスを置くとその表面は木星軌道付近に到達するほどの大きさです。ベテルギウスの表面を観測した結果、表面はでこぼこに波打っていて、ガスとチリを三方向に吹き出している様子も観測されました。また、原因は分かっていませんがベテルギウスの大きさが15年間で15パーセントも小さくなっていることも分かりました。

人類が超新星爆発を起こす直前の星を観測するのはこれが初めてのことですので、実はこれらの異常な現象が超新星爆発とどのように関係しているのかはよく分からず、超新星爆発が起きる時期についても、明日起きても不思議は無いものの1万年後のことになるかもしれないと言います。

 ベテルギウスで起きていることをより詳細に観測するために、ヨーロッパ南天天文台がチリに建設した大型望遠鏡VLTを使ってベテルギウスの表面のスペクトルを観測しました。VLT干渉計は非常に高い性能を持っているので、ベテルギウスの表面のドップラー効果を測定することに成功、つまり表面の特定の領域のガスが地球に近づく側に動いているか地球から遠ざかるように動いているかを測定することができ、その結果、ベテルギウス表面ではガスがダイナミックに上昇したり下降したりして動いていることが確認されました。そのような激しい動きは太陽では見られないものです。

 ベテルギウスがいつ爆発するのかというのが大変な興味であることは間違いないのですが、爆発したベテルギウスが地球からどのように見えるのかもとても興味があることです。

 この点についても多くの研究者が予想を立てています。超新星爆発の直前に放出されたニュートリノが光の速さで地球に到達しニッポンの検出器スーパーカミオカンデで検出され、私たちはベテルギウスが爆発したことを知ります。星が明らかに輝きを増すのはそれから1〜2日後。それから3時間後にはたとえ昼間であっても空の一点がギラギラと輝いて見えるほどの明るさにまで増光します。現在は赤いベテルギウスは爆発直後の一時的に温度が急上昇し青く輝きますが、その後は次第に暗くなります。明るさがピークを迎えるのは爆発から7日後。日中でもベテルギウスが見えるほど輝き続ける期間は3ヶ月と予想されています。4ヶ月目には明るさは100分の1に、15ヶ月後には金星と同じくらいに、二年半後には北極星くらいにまで暗くなって4年後にはついに肉眼では見えなくなって事実上夜空からベテルギウスは消えてしまいます。

◇  ◇  ◇

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Chapter-373 太陽観測衛星「ひので」が発見した太陽の新事実   
Chapter-372 動物たちの不思議   
Chapter-371 血液型と病気の関係/他
Chapter-370 あくびの役割が少しずつ分かってきた    
Chapter-369 だいたいあってる地学の授業・後編  
Chapter-368 だいたいあってる地学の授業・前編   
Chapter-367 原子力災害が野生生物に与える影響について  
Chapter-366 動物の不思議・最近分かったことのまとめ   
Chapter-365 チェルノブイリ事故の健康被害について   
Chapter-364 ミラクルフルーツ   
Chapter-363 ついに目からビームを出すことが可能かもしれない時代に  
Chapter-362 iPS細胞、加齢黄斑変性で臨床試験へ   
Chapter-361 浸透圧発電   
Chapter-360 南極昭和基地のエネルギー問題   
Chapter-359 粒子は光速を越える速度で移動できるのか?  
Chapter-358 インバー合金   
Chapter-357 組織をスケスケにする薬を発明   
Chapter-356 生きた細胞の中身を観察する技術を開発   
Chapter-355 新たな電子顕微鏡技術  
Chapter-354 宇宙がマルチバースかどうか確かめられるかも   
Chapter-353 「イトカワ」素顔解明進む/3Dゲーム機で原子配列を学ぶ   
Chapter-352 私たちは菌の住まいだった   
Chapter-351 情報をエネルギーに変換する  
Chapter-350 農薬耐性雑草   
Chapter-349 近代科学15の革命の中の5つの革命  
Chapter-348 親の受けたストレスは、DNA配列の変化を伴わずに子供に遺伝する  
Chapter-347 耳あか遺伝子   
Chapter-346 長期記憶のメカニズム  
Chapter-345 動物の細胞は自律的に集まって器官をつくっていた   
Chapter-344 悪性腫瘍と胎生は進化の上でのトレードオフか  
Chapter-343 LHCが人類の歴史上最も密度の高い物質を生成  
Chapter-342 羽の起源  
Chapter-341 Gravity Probe A, B  
Chapter-340 ウイスキーの化学   
Chapter-339 シュレーディンガー猫状態光パルスの量子テレポーテーションに成功    
Chapter-338 さくら(/アイスキューブ)   
Chapter-337 人為的に記憶力を増強できるらしい  
Chapter-336 人工肉  
Chapter-335 見えないのに見えている可能性   
Chapter-334 テトラシラシクロブタジエン   
Chapter-333 国際宇宙ステーションの日本モジュール「きぼう」からの小型衛星の放出実験について  
Chapter-332 小学生の大規模研究で英単語を処理する脳活動の基本パターンを解明  
Chapter-331 リチウム−空気電池  
Chapter-330 熊の冬眠に関する新発見・他  
Chapter-329 恐竜の前足と鳥の翼の関係   
Chapter-328 人の振り見て我が振り直せの科学  
Chapter-327 国際化学年  
Chapter-326 お茶の効能を分子レベルで解明  
Chapter-325 雷による反物質ビームの照射  
Chapter-324 デニソワ人、現生人類と交雑の可能性  
Chapter-323 新しいトランジスタを開発  
Chapter-322 正しい枕で正しい眠り  
Chapter-321 太陽系に関する近頃の発見  
Chapter-320 低い当選確率を高めに見積もるワクワク感  



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科学コミュニケーター 中西貴之(メール / 活動履歴
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ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 島生まれの島育ち
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

 


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