Chapter-148 食べ物に対して「やみつき」が起きる仕組みと別腹
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2007年2月24日 (前回の放送|次回の放送)
おいしい食べ物はなぜ食べ過ぎてしまうのでしょうか。また、ケーキなどでよくある「おいしいのは認めるけど好きではない」という仕組みはどのようにして生み出されるのでしょうか。さらに、ケーキは別腹などといいます。いっぱいになったはずのおなかのどこにケーキが入るのでしょうか。
脳の中にはβエンドルフィンと呼ばれるモルヒネのような神経状態をコントロールする物質が存在しています。脳のβエンドルフィンは好きな食べ物を食べたときに大量に分泌されます。βエンドルフィンは脳の中で「食べ物に対するやみつき」を司っています。人為的に「やみつき」のブレーキを解除したラットは砂糖水のような好物の摂取量だけが増え、水などのように体が欲するので飲むけれどおいしいと感じないものの摂取量は増えませんでした。これは、人間がごはんは食べられないのに、食後のケーキだけはたくさん食べられるという、その状況に似ています。
最近の研究で別腹は「感覚特異性満腹」という脳の関与する生命反応として理解されるようになりました。つまり、別腹は、胃袋の中に何を投入するかを脳が考えて、あたかもそこにそれ用の胃袋があるようにふるまう、科学的に説明できる現象であるということになります。少なくとも人間の場合、満腹という感覚は胃袋の中の食べ物の量で判断されているのではありません。満腹の感覚を作り出しているのは満腹中枢です。満腹中枢の神経に信号が入れば、たとえ胃の中が空っぽであっても満腹になったと感じるわけです。
ですので、食事をして満腹になったと言っても、それはバーチャルに作り出された感覚で、胃の中には多数の空間が残されています。「感覚特異性満腹」でケーキが別にはいるのはこの最初から存在している胃の空間に新たにケーキが投入されるだけのことだといえます。
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