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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 ■アストロアーツ社刊「星ナビ」2007年2月号で紹介されました(2007年1月) [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
Chapter-145 ムギやトウモロコシに感染するアカカビ(ムギ類赤かび病菌:Fusarium graminearum:フザリウム グラミネアルム)が作る「ゼアラレノン」は家畜に対して環境ホルモンとして作用し、死産や流産などを起こす可能性があります。アカカビは、発生を防ぐことが難しい上に、畜産業に用いられる飼料用穀物は、人間の食糧向けとは異なり栽培や保存コストをかけにくいため、感染防除に力が及ばないことが多々あります。 ゼアラレノンは他のカビの活動を抑制する作用がありますが、Clonostachys rosea (クロノスタチス ロゼア)と名付けられたカビはアカカビ毒素を分解するタンパク質を作り出す能力を持ちアカカビ毒素に対抗しています。そこで、このカビのゼアラレノンを分解する酵素の遺伝子をトウモロコシに組み込んだところ、トウモロコシで解毒タンパク質が作られている株を作り出すことに成功しました。 このトウモロコシの種子を自然の500倍以上となる高濃度のアカカビ毒素で人工的に汚染させたところ、解毒遺伝子を入れた遺伝子組み換えトウモロコシでは種子の胚、胚乳、表皮いずれの部分でも飛躍的にカビ毒が低減化されていました。また、収穫後のトウモロコシにアカカビを接種したところ、解毒遺伝子を入れていないトウモロコシではカビ毒が検出されるのに対し、組換えトウモロコシからは全く毒素が検出されませんでした。今回の成果は、家畜をカビ毒から守る実用穀類としては世界で初めての報告となるものです。 今後は圃場に栽培してカビ毒蓄積量を測定することになっていますが、組換え穀類に対する社会的な拒否反応を考えると、直ちに食用の家畜に飼料として与えることは市場に受け入れられない可能性もあり、現時点ではまず、ブタに食べさせ続けてその子孫に与える影響についての研究を行う予定になっています。 ルナーA中止 ペネトレーターを搭載して月周回軌道に向かうはずだった衛星は約100億円をかけて96年度に製作が完了していましたが、地震計や熱流量計を組み込んだペネトレーター(直径14センチ、長さ80センチ)の開発が難航し、開発費は当初の24億円から54億円に膨らんだ。打ち上げも10年以上延び、衛星の一部が腐食するなどすでに老朽化が進行しているとのことです。修理や再製作には新たに費用がかかるため、ルナーA計画を断念したようです。 ペネトレーターの技術は来年度末には完成する見通し。ペネトレーターを打ち込む月探査計画や構想を持つロシアやドイツから、ルナーAのペネトレーターを搭載したいとの打診があり、今後、協議していくという。 [他局の科学番組] □ディスカバリーチャンネル |