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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 ■アストロアーツ社刊「星ナビ」2007年2月号で紹介されました(2007年1月) [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
Chapter-144 乳児の言語獲得に新たな学説 1980年代後半以降、fMRIと呼ばれる診断装置が開発され、生きているヒトの脳の活動を外部から観察することが可能になり、さまざまなかだいに取り組むボランティアの脳の活動を視覚化できるようになりました。この方法を用いて、フランスオルセー国立保険医学研究所の研究チームは生後3ヶ月の乳児の脳も、短い文章を繰り返し聞かせることによって、乳児はそれを一種の記号として認識できるとの研究結果を発表しました。 脳のブローカ野と名付けられた領域は文法処理に関わっていると考えられています。今回の研究では、健康な三ヶ月齢の乳児に母親が2秒程度の短い文章を話しかけ、その間のfMRI分析を行いました。その結果、乳児期の言語習得の最も初期における発声をする段階以前からブローカ野は活動していることがわかりました。乳児の初期の発声には文法は存在していないと考えられますので、乳児におけるブローカ野の活動は、文法を学習した結果それを活用するために活動しているのではないと考えられます。すなわち、外部からの音声の情報にこの領域が反応することによって将来の文法を備えた会話に必要な複雑な学習をしている可能性が示唆されました。 また、別の実験とあわせ三ヶ月齢児の脳は言語に関する津にような能力をすでに獲得していることが示唆されています。 [他局の科学番組] □ディスカバリーチャンネル |