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Chapter-91 脳のにおい識別エビデンスを解明 科学雑誌「ニューロン」にアメリカ・エール大学の研究者らがある一種類のにおいの元となる分子であってもそれが鼻を経由して体内に入ったものが口を経由して体内に入ったものかを脳が識別しているという証拠を突き止めたと発表しました。 同じにおい分子が鼻孔から直接入った場合と、鼻の肺へ向かう気道側の入口を経由して入った場合の脳の反応を調べました。鼻の気道がわからにおい分子を入れると口にそのにおいの元となる物質が入った来たように感じました。研究者らは、実際には味覚は甘み、酸味、塩味、苦味の4種類しかないのに(現在ではうま味をくわえた5種類が定説です)フルーティー、スパイシーなどと感じるのは、鼻に入ってきた臭い分子を脳が口に入ったものとして処理しているからではないかと述べています。 では、脳ににおい分子の信号が伝わる経路は味とにおいで共通なのでしょうか、それとも別々の情報伝達経路を持っているのでしょうか。もし、独自の経路を持っているならば、臭いを感じるシステムはこれまで知られていた通常のにおい系回路の他に、味系におい回路があるということになり、新たな発見となります。 そこで、研究者らはボランティアの鼻の中に2本のチューブを入れ、1本は鼻腔のすぐ近くにチューブの端を置いて鼻腔からにおいが入ってきた状態を再現できるようにし、もう1本は鼻の奥の気道側の出口近くにチューブの端を置いて、においが口から入ってきた状態を再現できるようにしてました。そして、チョコレートやラベンダーなどの4種類のにおいを送り、その時に脳がどのように反応するかをMRIで調べました。 その結果は、臭いを感じるメカニズムにはこれまで知られていたものと別系統の味に直結する回路があることがわかりました。つまり、鼻腔付近ににおいを入れた場合と、奥の方に入れた場合では脳の活性化する部位が異なっており、脳の奧ににおい分子を入れた場合に活性化する部位は口に関与する脳の領域でした。ただし、新しく発見された回路は食べ物のにおいに非常に敏感に反応することもわかったため、におい刺激が過去の経験と総合作用して脳の特定の領域に作用した可能性もあります。 10代の友人選びに親の行動が影響 アメリカ・オハイオ州立大学の研究者らによると10代の友人選びに親の行動と親子関係の質、さらに住まいの環境が関連していることがわかりました。 研究者らによると10代の子供たちが親と親密な関係を保ち、質の高い学校の近くに住んでいる場合には友人とのけんかの頻度が低くなり、友人の進学意欲が高いことがわかりました。親の監視や監督も友人の選択に関与していましたがそれは一時的なもので、研究者によっては親は子供の行動にほとんど影響を与えないと言っている研究者もいます。けれど、今回の研究者らは子供の友人選びに親もある部分では影響を及ぼしていることを論文の中で示唆しています。ここで言う親と子の親密な関係とは親子が一緒に活動し、頻繁にコミュニケーションし、双方への愛着を示すような関係だそうです。ただ、親による子供の監視という観点では、親が子供を強く監視しても、その子供が非行に走りにくい友人を選ぶという結果は得られませんでした。 この研究結果全体として子供が思春期に達した後も親は子供の生活に重要な役割を演じていることを示しています。つまり、親は直接的に子供を指導・教育するばかりでなく、良好な親子関係と良好な居住地を選ぶことによって友人を経由した間接的な子供の教育に関わっているということです。 |