2011年1月22日
Chapter-324 デニソワ人、現生人類と交雑の可能性
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現生人類とは別系統とされる「デニソワ人」について、最近行われた遺伝子解析の結果から、現生人類の祖先と交雑していた可能性が高いことが判明しました。
デニソワ人というのは、2008年にロシアのデニソワ洞窟でみつかった子どもの骨の断片を研究した結果確認された、4万年くらい前に生きていたと考えられる人類の仲間です。マックス・プランク進化人類学研究所が発見された骨のDNAを解析した結果、デニソワ洞窟で見つかった骨の一部は5〜7歳の少女の小指の骨で、デニソワ人はネアンデルタール人と近縁なグループで、80万4千年前に現生人類であるホモ・サピエンスとの共通祖先からネアンデルタール人・デニソワ人の祖先が分岐し、64万年前にネアンデルタール人から分岐した人類であることが推定されました。ネアンデルタール人と分岐した年数については、35万年ほど前という説もあります。デニソワ人の体格などの外形、生活様式、人口などはこれからの研究が待たれます。
このデニソワ人のDNAを、現在パプアニューギニアに住むメラネシア人から採取したDNAと比較した結果、一部共通の配列が確認されたという。これはメラネシア人が現生人類の祖先とデニソワ人との交雑の子孫である可能性を示唆していることになります。
ただし、同じく、マックス・プランク進化人類学研究所の研究者らの考察では、デニソワ人がパプアニューギニアにやって来たわけではないようです。
というのも、ネアンデルタール人がユーラシア大陸西部に分布していたのに対し、デニソワ人はユーラシア大陸東部に広く分布していたと考えられています。そして、メラネシア人の祖先が東南アジア付近でデニソワ人と出会い交雑するのが先で、その後に、パプアニューギニアまで移動したのであろうと考えられています。
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