2011年1月29日 このほどエジプト上空を通過中だったNASAのフェルミ・ガンマ線天文衛星に搭載された放射線検出器が、電子の反物質である陽電子の明らかな痕跡をおよそ30ミリ秒間にわたって検出しました。分析の結果、この高密度の放射線バーストの発生源は、フェルミから5000キロ以上離れたナミビア上空の稲妻だったことがわかりました。 これはつまり、地球には反物質を作り出す気象現象があって宇宙に反物質を発射していることになるので、物理学者にとっては非常に驚きなのだそうです。 雷は最もエネルギーの高い光の形態であるガンマ線を発生させることがあること、そして、ガンマ線は対生成と呼ばれるプロセスを通じて陽電子を作り出すことがあること、それぞれは以前から知られていたことなのですが、その両者が同時に起きて雷が陽電子を作り出すという事実は今まで知られていませんでした。 科学的には、ある大きさのエネルギーを持ったガンマ線が空気中の原子と反応すると、ガンマ線のエネルギーが、電子1個と陽電子1個に変換されるということです。それにしても、強力なガンマ線バーストで陽電子が数個できただけなら、物理学者も納得できる現象かもしれませんが、フェルミの観測データから計算すると、稲妻は約100兆個の陽電子を作り出したと見られこれは相当多い量です。 陽電子がビーム状に照射された件については 稲妻が作り出した陽電子が地球の磁場の作用で集まって強いビームとなったのではないかと推測されています。 ◇ ◇ ◇ (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。)
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