2011年1月8日
Chapter-322 正しい枕で正しい眠り
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人間は横たわって眠りますが、それによって背骨への縦方向の圧力を排除した状態で首の筋肉の緊張を解いたり、神経を安静状態にしたりしています。また、睡眠時には人体は必ず寝返りを打ちますので、寝返りを打ちやすくすることが深い眠りを得ることと大きく関係しています。今回の主題の枕はこのような観点から非常に重要な睡眠グッズです。
枕の効果や意義については実はよくわかっていません。よく言われる枕の効果は、@脳を休める、A体を休める、B自律神経を休める、C細胞の新陳代謝を促進する、などです。いずれにしても、枕の役割は、人体の骨格構造である背骨と首の骨の良好な相対的位置関係を得るためのものには違い有りません。けれど、睡眠中の背骨の状態、言い換えると、睡眠姿勢に関する研究は非常に少なく、生物学的、生理学的そして解剖学的な視点での脊椎動物における睡眠の意義はまだ解明されていません。ただ、概念的には脊椎動物にとっては横たわる睡眠中のみが背骨に重力が縦方向に圧縮するようにはかからず、ゆがみの修復、神経や筋肉、関節のほか、あらゆる組織の回復時間と考えられています。
睡眠時の姿勢は、静止して眠っている状態の姿勢と寝返りをうつ動作の2つの観点で評価する必要があります。枕の基本的な調整は、横を向いて寝ている状態も仰向けで寝ている状態も、ともにただし位置関係に背骨から首の骨を保つことが基本で、しかも、寝返りを打つ最中には、深い睡眠を妨げないようにそれをスムーズに行う必要があり、そのためには、体格、頭型、関節の柔軟性、首の形状などの総合的な要素を考え、いわゆる回転運動を最少のエネルギーで可能とするように調整することが重要です。
さて、十分な睡眠をとることができない睡眠障害は、多くの場合、精神、心理領域の問題として取り扱われています。厚生労働省・精神神経疾患研究報告によれば、全人口の21.4%%の人が不眠を訴えているとされています。不眠を考える際、多くの場合、精神的な問題や、不眠をもたらす薬剤の使用の視点から行われますが、環境条件として、枕を含めた寝具の問題が関与してい点も忘れることはできません。
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