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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 ■アストロアーツ社刊「星ナビ」2007年2月号で紹介されました(2007年1月) [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
Chapter-151 海の生き物の毒 テトロドトキシンの毒性を一般に有機物の毒性の指標とされる50%致死量LD50で表すと、マウスの場合はLD50=0.01 mg/kgとされ、マウス一匹あたり1μg以下という極微量で死に至ります。人間の場合は食べ物として摂取した場合、2〜3mgが致死量となります。 テトロドトキシンの作用メカニズムは神経細胞や筋線維の細胞膜に存在して、細胞の中と外でナトリウムイオンをやりとりすることにより、情報を伝達する電位依存性ナトリウムチャネルを抑制することで、活動電位の発生と伝導を抑制する。そのため、生存するために必要な体内の臓器間での情報のやりとりができなくなり、麻痺症状を起こします。症状は摂取後数十分から数時間以内に発生し、舌や唇がしびれ、指先のしびれに始まり、頭痛・腹痛・嘔吐などを起こし、歩行や発声が困難になります。致死量を摂取した場合、血圧低下、呼吸困難、意識障害と症状は急速に進行し24時間以内に死亡する場合が多いと言われています。一方で、神経の活動を抑える働きを利用して、鎮痛剤として医療にも用いられます。 解毒剤は見つかっていないので、口から毒をはき出させる以外に対処方法はありません。このような猛毒ですが、ほ乳類とフグでは作用部位のナトリウムチャンネルのタンパク質が異なるため、フグ自身は、テトロドトキシンで中毒死することはありません。 ※詳細資料はまぐまぐプレミアムで配布中です。 [他局の科学番組] □ディスカバリーチャンネル |