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科学コミュニケーター 中西貴之(メール
アシスタント BJ

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 先週は
  総聴取数 39,355 名様 (バックナンバー含む)

 先週も大勢の方に聴いていただきました。
 ありがとうございました。



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[バックナンバー]
   
Chapter-151 海の生き物の毒 
Chapter-150 黄砂が気候に与える影響 
Chapter-149 バイオエタノール燃料 
Chapter-148 食べ物に対して「やみつき」が起きる仕組みと別腹
Chapter-147 万能科学者西村真琴と學天則
Chapter-146 サイエンスニュースフラッシュ 2007年1月号 
Chapter-145 家畜に悪影響を及ぼすカビ由来毒素を分解する遺伝子組み換えトウモロコシを作った・ルナーA中止 
Chapter-144 乳児の言語獲得に新たな学説
Chapter-143 宇宙の暗黒物質の空間分布を初めて測定
Chapter-142 銀河の中心にある巨大ブラックホールの正体
Chapter-141 生命体の細胞内部の構造を保つ新たな仕組みを発見
Chapter-140 サイエンスニュースフラッシュ 2006年12月 
Chapter-139 「ひので」搭載可視光・磁場望遠鏡の初期成果
Chapter-138 サイエンスニュースフラッシュ 2006年11月 
Chapter-137 宇宙日傘 
Chapter-136 ヴォイニッチの科学書流「クマムシ!?」 
Chapter-135 サイエンスニュースフラッシュ 
Chapter-134 DNAの分解異常による関節リウマチ発症 
Chapter-133 脳の機能・太陽系外惑星 
Chapter-132 ノーベル物理学賞 
Chapter-131 サイエンスニュースフラッシュ 
Chapter-130 RNAi 
Chapter-129 遺伝子組み換え低アレルギーネコ・コルクでできたような巨大惑星 
Chapter-128 飲酒が身体に与える影響 
Chapter-127 冥王星 
Chapter-126 サイエンスニュースフラッシュ 
Chapter-125 科学技術振興機構(JST)が腹時計を発見 
Chapter-124 次世代超音速機技術の研究開発 


>> 「Mowton(放送終了)」はこちら

[この番組の担当は・・・]

ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

Chapter-152 アストロバイオロジー

今回の放送を聴く まぐろぐヴォイニッチ 

2007年3月24日 (前回の放送次回の放送

 2007年3月24日 Chapter-152はアストロバイオロジーとは何かと言うこと、それについて現在わかっていることについてお話ししています。

 アストロバイオロジーは1998年頃にNASAが提唱した新たな学問分野です。その目標は次の3つの問題を解明することです

・私たちはどこから来たのか
・私たちは孤独な存在なのか
・私たちはどこへゆくのか

これまでの宇宙探査は写真を撮影して地形を調査する、あるいは分析装置で物理化学的性質に関するデータを得ることが目標になっていましたが、今後の宇宙探査は生命に関する考察を最も重要なテーマに掲げて行われようとしています。

私たちはどこから来たのか

 1920年代、生命は原始地球上での物質の化学反応によって誕生し、進化したとする「化学進化説」が提唱されました。では、誕生して間もない地球で科学的に生命が誕生する可能性はあるのでしょうか。原始地球の大気組成は一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水蒸気が主体であったと考えられています。一酸化炭素と窒素を含む原始地球の大気を模した気体に加速器を用いて粒子線を照射すると、アミノ酸が生成することが確認されました。たしかに化学反応によって生物の部品はできそうです。
 そのほか、原始地球に隕石に含まれた状態で外部から生命の元が供給された可能性、有機物が暗黒星雲の中で作られ、太陽系が形成される過程に取り込まれた可能性、海底の熱水噴出口で自然にできた可能性など生命の根源となる物質の起源においては、様々な可能性が存在し、実際にはこれら多くの可能性の複合したものが生命の起源であろうと思われています。

私たちは孤独な存在なのか

 火星、木星や土星の衛星など、いくつかの太陽系内の天体に生命が存在している可能性が示唆されています。また、土星の衛星のエンセラダスには生命が誕生することができそうな高温の水が存在する可能性が出てきました。
 ただし、地球以外の生命を考えるにあたって、捨てきれない疑問が常につきまといます。それは私たちが知っている生命の姿は普遍的なのだろうか、ということです。最近になって深い海の底や火山の中などの極限環境には私たちのそれまでの常識を越えた環境適応能力を持った生物が生息していることがわかってきました。地球上においてさえ、私たちは生物の全体像を知っているとは言えません。私たちと同じような生命が宇宙空間で見つかるかどうか、私たちのような生命体が普通なのかどうか、一切わかっていません。

私たちはどこへゆくのか

 私たちはある天体における生命の一部始終を見たことがありませんが、地球上ではこれまで多くの生物が強力な捕食者の出現や地球環境の激変によって絶滅してきました。地球上での生物の進化と絶滅を研究することによって、我々とは何か、どこから来て、どこへ行くのかを問い、新しい文明のあり方を追求するのがアストロバイオロジーの最大の目標であるといえます。
 アストロバイオロジーは単なる宇宙に対する知的好奇心の充足だけではなく、重要な点は私たちと地球の未来を科学的に考えていくことにあります。今後、多くの分野の研究者が協力し合って、私たちが今どのように生きればよいのかに対するヒントがアストロバイオロジー領域からフィードバックされることが期待されます。

【参考資料】
松井教授の東大駒場講義録―地球、生命、文明の普遍性を宇宙に探る 松井孝典著 集英社新書
宇宙人としての生き方―アストロバイオロジーへの招待― 松井孝典著 岩波書店
アストロバイオロジー・宇宙からの生命の謎に迫る 小林憲正 Isotoe News 2007年3月号
最新科学おもしろ雑学帖  拙著 技術評論社
 030 宇宙での知性を持った生物探査
 035 地球に生命が誕生した仕組み
 038 火星大気のメタンは生物存在の証?
 039 火星には水が豊富に存在か?
 040 では実際に火星にはどんな生き物がいそうなの?
 042 土星の衛星タイタンに生物はいるか?
 064 大陸を動かす原動力・スーパープルーム
 070 恐竜が絶滅した本当の理由はわからなくなってきた?
 071 バージェス頁岩の異様な生き物
Space Utiliz Res, 22 (2006) 329-332
URL:http://www.geocities.jp/natureland7005/astrobio.html
URL:http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ken/tanbo/09.html


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