2010年1月16日
Chapter 273 レスベラトロール
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動物性脂肪のとり過ぎは、動脈硬化などの原因となり健康を害するとされています。ところが、フランスの農民は動物性脂肪を大量に摂取するにもかかわらず、心臓疾患が少ないことが知られていて、この矛盾をフレンチパラドックスと呼んでいます。フランスの農民が赤ワインを大量に飲んでいることから、赤ワインの中に動物性脂肪の有害な作用を無効にする成分が含まれているのではないかと考えられるようになり、赤ワインに含まれる健康によいとされる成分として発見されたのがレスベラトロールです。
マウスを使った研究では、20%ほどの脂肪を添加した不健康なエサでマウスを飼育し、さらに、0.02%のレスベラトロールを添加したところ、脂肪の摂取量が多いにもかかわらず、これらのマウスの寿命が延びたという報告があります。ただ、0.02%のレスベラトロールは人間の摂取量に換算すると多すぎるため、より少ないレスベラトロール量での作用について、また、人間とマウスのレスベラトロールに対する反応性の違いについての検討が行われています。
ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタのコーナーです。
▼小型恐竜、毒使って狩り…米チーム新説
アメリカカンザス大学の研究チームが提案した新しい説によると、鳥に似た小型恐竜は、獲物を倒すのに毒を使っていたようです。中国遼寧省の白亜紀前期の地層から発掘されたシノルニトサウルスの頭骨には上あご後方にある牙の表面に先端まで伸びた溝があるほか、牙の根元に毒の分泌腺を収容できる空洞が見つかったのがその根拠です。この特徴は現在の毒を持つは虫類の歯の構造と同じだと言うことです。そのため、この恐竜も鳥や哺乳類などにかみつき、毒が回って動けなくなるのを待って食べていた可能性が高いと結論づけています。
▼鉄が花を青くする
富山県で生まれたチューリップ「紫水晶」は、花びらの底部は青色をしています。底部の細胞と先端部分の紫色の細胞の比較を行ったところ、赤や青の色を出すアントシアニン色素の種類や性質に八階はありませんでしたが、青色の細胞では、細胞内に含まれている鉄イオンの量が、紫色の細胞より25倍も多いことがわかりました。また、青色細胞には鉄を運ぶタンパク質の遺伝子があることがわかり、この遺伝子を紫色の細胞に入れると、その細胞だけ青くすることにも成功しました。
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