2010年10月23日
Chapter-312 日本の海洋鉱物資源開発
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海洋鉱物資源は海に存在するさまざまな鉱物資源を指しますが、近年注目されているのはそれらの中でも特にレアメタルとレアアースです。レアメタル、レアアースとは何なのかについて復習しておくと・・・。
レアメタル
レアメタルは産業上価値の高い特殊な金属のことですが、レアメタルに含まれないのは、ベースメタルと呼ばれる銅、亜鉛、アルミニウムなど、貴金属と呼ばれる金、銀などで、これらを除いた産業に利用される非鉄金属をレアメタルと言います。マンガン、ニッケル、コバルト、モリブデン、チタン等が代表的なレアメタルです。レアメタルは近年著しく価値が高まっていますが、それは、中国、ブラジル、インドなどの経済成長や、電子部品に対する需要によるものです。レアメタルは、IT製品や電気自動車などの高機能製品の製造に必須の素材で、日本の製造業にとっては極めて重要な物質ですが、輸入に頼っているのが現状です。
レアアース
特に強力磁石の原料の一つとして用いられ、モーター、LED、コンデンサ、家電等様々な用途に使用されています。日本は世界の需要の約半分を占めています。2010年現在では、レアアースの97%が中国で産出されており、日本もその需要のほとんどを中国からの輸入に頼っています。レアアース(rare
earth elements:希土類元素)は、世界の埋蔵量で3割、生産量で9割が中国で、近年では価格高騰や輸出規制などが発生し、資源確保や代替物質の開発は緊急の課題だとされています。
レアアース 17元素
21 Sc スカンジウム
39 Y イットリウム
57 La ランタン
58 Ce セリウム
59 Pr プラセオジム
60 Nd ネオジム
61 Pm プロメチウム
62 Sm サマリウム
63 Eu ユウロピウム
64 Gd ガドリニウム
65 Tb テルビウム
66 Dy ジスプロシウム
67 Ho ホルミウム
68 Er エルビウム
69 Tm ツリウム
70 Yb イッテルビウム
71 Lu ルテチウム
これらの鉱物は海洋に均等に分布しているわけではありません。鉱物によっては海水に溶けている物もありますが、現在、早期の商業規模での採掘を目指そうとしているのは海洋底の特定の場所に固まりとして存在している物です。たとえば、海底の熱水噴出孔は、煙突状の「チムニー」がつくられますが、これは、銅や亜鉛、鉛、金、銀などの硫化物が堆積したもので、沖縄や伊豆・小笠原の近海で大規模な鉱床が発見されています。また、海底の山脈を形成する玄武岩を覆うように山の斜面や頂上に鉄やマンガン酸化物の層が見つかることがありますが、特にコバルトに富んだものをコバルトリッチ・マンガンクラストと言います。ここにはコバルトの他に、プラチナやレアメタル、レアアースが多く含まれると考えられていて、日本では南鳥島周辺海域に多く分布していると言われています。
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