2010年9月18日
Chapter 307 人間の体内時計を簡単に測定する方法
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佐賀大学、山口大学。ソニー・先端マテリアル研究所を中心とした研究グループが人間の体内時計を簡単に測定する方法を開発しました。この方法は時間遺伝子に着目したもので、頭髪や髭などの根元に付着する細胞を使って時間遺伝子の働きを測定します。この技術は、体内時計の乱れ原因となる病気の予防・診断・治療などへの利用が見込まれる技術です。
研究グループは、引き抜いた体毛に付着している細胞を利用することで、時間遺伝子の活動を高い精度で測定できることを見いだしました。時間遺伝子から時計たん白質が作られる際の中間物質であるメッセンジャーRNA量が時間と共に変化する様子を測定するもので、体毛の時間遺伝子の活動パターンが個人の生活習慣を反映していることは別の実験で確認済みです。
今回の手法を昼夜交替制で働く業務に就いている人の協力を得て確認を行いました。早番と遅番勤務を1週間ごとに繰り返す実験協力者の毛の根元の細胞を使った時間遺伝子の活性測定の結果、生活リズムと体内時計には5時間のずれが常に存在し、慢性的な時差ぼけを経験していることが示唆されました。このことは、太陽の動きに基づく24時間の生活リズムからずれた勤務に就いている人は高血圧、睡眠障害、精神疾患、心臓病などが発症しやすい蛍光があることが知られていますが、この原因が時計遺伝子のずれである可能性も考えられます。
そのほかにも最近の研究で、体内時計の乱れがさまざまな疾患発症の根底にかかわることが分かってきました。けれど、従来の体内時計の測定法は口内粘膜や末梢血を使った測定で、測定方法が煩雑な上に精度が低かったため、簡単で精度の高い測定法が求められていました。今後、さらに測定精度を高めることによって、医療の現場で使われるようになることが期待され、、個々人の体内時計に合わせた抗がん剤などの投薬にも応用できる可能性があるといいます。
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