2010年10月9日 スペイン・アンダルシア宇宙物理学研究所、イタリア・トリエステ国際高等研究所などの研究チームの計算によると、量子効果を考慮するとブラックホールは生まれず、それとは全く別の天体ブラックスターが生まれる可能性が示されました。 星が形成されると内部の核反応で生じる熱や圧力によってその大きさは維持されます。ところが核燃料を使い果たすと太陽のような軽い星は白色矮星になり、ベテルギウスのような巨大な惑星は超新星爆発を起こして中性子星となります。中性子星がさらに質量を獲得すると星を押しつぶそうとする重力がその星を押しつぶして古典的な考え方によればブラックホールが誕生します。ところが、この過程で新たな研究によるとある種の反発する力が発生し星が崩壊してブラックホールになることを食い止めるらしいのです。その結果として形成されるのがブラックスターです。 ブラックスターは非常に小さくて密度の非常に高い天体ですので、観測するとブラックホールと似ていますが全く異なる天体です。ブラックスターは太陽や地球と同じように物質で構成され、宇宙空間との境界も地球や太陽同様に物質の表面で形成されています。事象の地平面を持たないので、天体の表面を外部から観測することが可能です。ただし、非常に重いので周辺の時空が著しくゆがみ、赤方偏移が非常に大きいためきわめて暗い天体に見えるはずです。また、ブラックスター内部の構造もブラックホールとは全く異なっていて、ブラックスターの内部は殻が同心円状に重なったタマネギのような構造をして、内部の殻ほど高温になっています。 ただ、ブラックスターにしても計算によって描き出された天体ですので、子のような天体が自然に発生するのか、それとも例外的な物であるかはわかりませんし、理論的にはブラックホールの方がより単純ですので、ブラックホールを認め情報喪失問題を解決するための理論を構築するアプローチの方が主流であることを申し添えます。 今週は日経サイエンス2010年2月号の記事を参考に作成しました。
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