【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】
2012年5月19日
Chapter-393 平賀源内と外村彰
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平賀源内について、ブリタニカ国際大百科事典により・・・・
「江戸時代中期の科学者、文人、戯作者、画家。高松藩の足軽の子として1728年に生まれた。早くから医学を学び、長崎、江戸でオランダ語、本草学(生物分類学の前段階ともいうべきもので,薬物としての利用に重点を置いた自然物の記載)などを修めた。
才気煥発(さいきかんぱつ)、多技多能で、あらゆる科学に関心をもち、日本で最初の物産会を催し、ヨーロッパの諸機械の運用、石綿の製造、製陶、鉱山採掘、摩擦電気の活用、毛織物製造などを行なったが、上から用いられず、その不満を戯作にぶつけた。
『風流志道軒伝』 (1763) 、『根南志具佐 (ねなしぐさ) 』 (1763) 、『風来六部集』 (1780) 、『放屁論』 (1774、1777)
などがあり、安永年間 (1772〜81) 刊行の洒落本『太平楽巻物』『里鶴風語』、浄瑠璃『神霊矢口渡』 (1770初演) 、『源氏大草紙』
(1770初演) 、『忠臣伊呂波実記』 (1775初演) などもある。晩年誤って人を斬り、投獄され1780年に獄死した。本草学関係の著書に『物類品隲』
(6巻、1763) 、『神農本草経図註』などを残した。また、オランダ書物から洋風画法を学び、『西洋婦人図』は彼の作であるとされる。その画風は秋田藩士小田野直武に伝授され、のちの秋田蘭画の基を開いた。
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平賀源内は科学や芸術など幅広い分野で活躍した日本で最も知名度の高い科学者の一人です。モナリザで有名なレオナルドダビンチは、平賀源内のイタリア版とも言えます。
実際のところ、平賀源内が何で有名かと言えば本草学者としてよりも、戯曲作家としてよりも、エレキテルの発明者としてだと思います。エレキテルは、江戸時代中期の1776年、つまり平賀源内が48歳の時に製作された日本最初の摩擦静電気発生装置です。
現在は東京都千代田区の逓信総合博物館と香川県さぬき市の平賀源内記念館にそれぞれ1台ずつ現存しています。エレキテルは、歯車、ガラス瓶、枕、鉄くずを満たした蓄電瓶などが主要パーツで、ハンドルを手でグルグル回すと歯車が回転し、摩擦を起こして電気を発生させ箱の外の銅線端で放電します。エレキテルを再現した装置での実験によると3000ボルト〜5000ボルトを発生させることができました。平賀源内はこれを医療に活用したり、見せ物で人を驚かせたりしたようです。
晩年に人を切った件については、酔っていた上での過ちだと伝えられていますが、いろいろな伝説が残されていて、逃げ延びて田沼意次(たぬま
おきつぐ)に保護され天寿を全うしたとも伝えられています。
ノーベル物理学賞の候補として注目されていた日立製作所の外村彰(とのむらあきら)さんが先日亡くなられました。70歳でした。
外村さんは1965年に東京大学を卒業してすぐに日立製作所に入社し、間もなく、きわめて小さな世界を見る電子顕微鏡開発にのめり込みました。当時の研究テーマは「電子線ホログラフィー」というもので、電子の波が干渉してできる波紋である干渉縞を利用して微細なものを見る技術の開発でした。
研究に着手して10年が経過したある日、外村さんは撮影したフィルムを蛍光灯にかざすと虹が浮かぶことに気づきました。驚いて光学顕微鏡で拡大すると、きれいに波面のそろった電子線の干渉縞が撮影されていることが分かり、これが電子の波紋が観察できるようになった瞬間でした。
2009年度からは内閣府トップ30のプロジェクトの中心研究者として1億分の4ミリメートル見分ける世界最高性能のホログラフィー電子顕微鏡開発に取り組んでいました。完成は来年の予定で、これが完成すると原子1個の配列や動きを3次元的に観察できる究極の電子顕微鏡になるはずです。病魔と闘いながら3月終わりまで数十人の研究者を率いて現場で指揮をしていたそうです。
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2012年11月10日(土)
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