【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】 原虫とは単細胞生物でありながら口や肛門があるなど動物的な性質を持っている生き物の総称です。トキソプラズマは猫や犬から人間に感染し、発熱・リンパ節腫脹・発疹・肺炎など様々な不特定の症状が出て、慢性化すると脳や眼に病変をおこします。今回の説によると、飼い猫も宿主になり得るトキソプラズマが人間にとっての癒やし効果に関係があるのかもしれないというのです。 トキソプラズマを実験的にネズミに感染させると、そのネズミはネコの尿の臭いをあたかも好んでいるかのような行動をしてネコに襲われやすくなることが分かりました。このことは、トキソプラズマを持つネズミを猫が食べるとトキソプラズマはその猫を宿主として新たな生活環境を確保して増殖することができますので、考え方によっては、トキソプラズマは自分の仲間を増殖するためにネズミを操って猫に食べられやすいように行動させていると考えることもできます。 トキソプラズマのDNAを解析した最近の研究によると、トキソプラズマは脳で情報の伝達に関わるドーパミンの合成する酵素の遺伝子を持っていることがわかりました。どうやら、トキソプラズマに寄生されたネズミは脳の中のドーパミンの量が増えて、猫を恐れる感覚が薄れて猫に食べられやすくなるようなのです。 ネズミを操るために使われたドーパミンですが、人間の脳の中でもネズミと同じような情報の伝達に関わっています。スポーツ観戦で大量にドーパミンが放出されて興奮状態になるように、人間においてもドーパミンは、人を興奮させる作用を持っています。放し飼いにされた飼い猫はトキソプラズマに感染いている確率が高く、そのような感染猫を介して飼い主が感染します。トキソプラズマに感染した人は、世界人口の3分の1、日本人では20〜30%もいると推測されています。放し飼いの猫を飼っていなくても園芸などで庭の土などを介して感染する場合もあります。 古代エジプトで猫がとてもかわいがられていたことは壁画や丁重に葬られた猫のミイラから明らかになっていて、女神バステトとして崇拝されて、火事のときは消火よりもネコの救出が優先されたそうですが、。この輝かしい古代エジプト文明は、古代エジプト人がネコから感染したトキソプラズマによって「活性化」したことによってもたらされたと唱えるビックリ説もあるようです。 ◇ ◇ ◇ (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。) (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。)
|
Science-Podcast.jp
制作
このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。
|