Chapter-153 マイクロバブル
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2007年3月31日 (前回の放送|次回の放送)
マイクロバブルは人工的に作り出した直径が十〜数十マイクロメートルの非常に小さな気泡です。マイクロバブルには、次に示すような普通の気泡にはない物理化学的特性を持っていることが明らかになっています。
・マイクロバブルは時間経過とともに収縮してさらに小さな泡(マイクロナノバブル)になる(自己加圧効果)
・水中での上昇速度が小さく、水中を漂う
・マイナスに帯電しており、プラスに帯電したものに付着する
・帯電しているため生物に対して電気刺激を与える作用を持つ
・気泡を作る気体の種類によって性質が異なるマイクロバブルができる
・水道水でマイクロバブルを発生させると水が弱アルカリ性になる
・血流促進や体表面温度の上昇など動物に対する生物活性を引き出す作用がある
マイクロバブルが非常に有効な理由の一つは水と空気だけで作ることができると言うことです。生物に有害な物質や環境に負荷をかける物質を使用したり、放出したりすることなく生物に対して様々な作用を持ちます。
マイクロバブルの最初の実用研究は水質浄化作用でした。食用の二枚貝は波の穏やかな内海で養殖が行われますが、このような閉鎖された水域では、水質悪化による二枚貝の大量死が問題となります。そのような海域でマイクロバブルを発生させると水質が浄化されることが発見され、これ以降大きな注目を集めることになりました。
マイクロバブルは血行を促進する効果があることも知られています。マイクロバブル発生装置を取り付けた温泉の浴槽につかると血流促進効果によって体温上昇が確認され、疲れがとれよく眠れるようになるといった効果も現れており、現地では「ポカポカ効果」と呼ばれて親しまれています。
名古屋市立大学医学部の岡嶋教授の研究チームの報告によると、マイクロバブル湯に入浴させたラットはインスリン様成長因子(IGF-1)が増加することが確認され、ポカポカ効果が入浴者の主観ではなく、マイクロバブルが確かに何らかの作用を体に与えていることが確認され巻いた。
そのほか、植物活性化効果を利用した水耕栽培、微生物を使った排水処理システムの処理能力が向上、各種精密機器の洗浄など幅広く用途開発が行われています。
番組では多くのマイクロバブル実用化研究の中から、有明海における介す異常か実験と、大型貨物船における抵抗軽減の省エネ作用について紹介します。
【参考資料】
化学工学 第71巻 第3号 (2007) 154- 「特集 マイクロバブル」
化学と工業 Vol.60 No.3 March (2007) 234-235
マイクロバブルのすべて 大成博文ら 日本実業出版
(2006)
最新科学おもしろ雑学帖
拙著 技術評論社
202 マイクロバブルはガンへの刺客
今回の番組で触れなかったマイクロバブルによる食中毒予防やガン治療について書いています。
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