Chapter-157 サイエンスニュースフラッシュ 2007年4月
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| まぐろぐヴォイニッチ
2007年5月12日 (前回の放送|次回の放送)
系外惑星の大気に初めて水が存在する証拠を発見か?
太陽系以外の惑星から初めて水を検出したとする研究が発表されました。この水は巨大ガス惑星大気の中に水蒸気として存在しているようです。
この惑星系はペガスス座の方向約150光年の距離にあり、地球から見て恒星の前を横切るように公転しているのが特徴です。惑星が恒星の前を横切るとき、恒星の光の波長の一部は惑星の大気によって吸収されますので、それを調べることによって大気の組成を知ることができます。
今回、惑星に水蒸気が含まれる場合と含まれない場合の2通りの結果を予測し、ハッブル宇宙望遠鏡の観測結果がどちらと良く一致するかを調べた結果、水蒸気を含むモデルは観測と一致し、含まないモデルは一致しませんでした。このことは惑星大気に水蒸気が含まれていると考えた方が自然であることを意味しています。
この報告は4月17日に発表されたものですが、そのわずか9日後に「液体の水、そして生命が存在する可能性もある地球にとても近い太陽系外惑星、発見」という発表がありました。
今回発見された惑星は、てんびん座の方向わずか20.5光年の距離にある恒星を13日周期で公転し、地球の約5倍の質量と1.5倍の半径を持つ惑星です。13日という公転周期の短さからわかる通り、地球と比べて恒星までの距離はかなり近いのですが、恒星の質量は太陽のわずか3分の1で、はるかに暗いため惑星の平均気温は摂氏0〜40度ほどとほぼ地球と同じと見積もられています。もし、実際に表面の温度がこの範囲内であれば、水は液体として存在し、さらに、生命が存在する可能性もでてくるということです。
コローが今後大活躍の予感
太陽系外惑星系を探すことを目的としてフランス国立宇宙研究センター(CNES)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)が共同で開発し、2006年12月に打ち上げられた衛星COROT(コロー)が初めて惑星を発見し、予想以上の性能を発揮しています。今後は地球と同じサイズの惑星を見つけることも期待されています。
「はやぶさ」地球帰還に向けた本格巡航運転開始
小惑星イトカワに2005年夏に到達し、人類の探査機として初めて月以外の天体からの離陸に成功した日本の「はやぶさ」はバッテリーや姿勢制御用リアクションホイールにトラブルが発生し、満身創痍の状態になっています。JAXAでは「はやぶさ」を何とか地球に帰還させようとバッテリーの充電や姿勢制御方式の確立、経年劣化している可能性のあるイオンエンジンの運転方法の検討などの準備が進めていました。このたび、ついにそれらに対する方策に目処がつき、4月25日から地球帰還に向けた本格的巡航運転段階に移行しました。2010年、地球への帰還を目指します。
地球温暖化の影響
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、地球温暖化によって世界遺産が受ける影響を調査した初の報告書「気候変動と世界遺産に関する事例研究」を発表しました。
温暖化の影響が顕著なのは氷河や氷雪などの自然遺産です。世界最高峰エベレストを含むネパールの「サガルマタ国立公園」では、氷河の後退によって土砂が谷をせき止め、多数の氷河湖が出現。決壊による洪水の心配が高まっています。そのほか、世界中の氷河が著しく減少していることが報告されました。氷河の現象が希少動物の生息環境の破壊や、さらなる異常気象の原因になっていることを指摘しています。
一方、USGS米地質調査所の調査によると、地球温暖化の影響でグリーンランドに新島が誕生したということです。
この新島はグリーンランドの東海岸にあり、現在は便宜上、温暖化島(Warming Island)と呼ばれているそうです。少なくとも2002年までは氷床でつながった半島だったようですが、地球温暖化の影響で氷が溶けてしまい、2005年に撮影された衛星画像では完全な島になってしまっていたということです。
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