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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
Chapter-158 雷 死亡事故が減少している一方で、近年新しいタイプの雷災害が増えてきています。それはコンピューターシステムに対する被害、風力発電装置の破損、高層建築への落雷です。 風力発電所の風車は大型化がすすみ、大型風車は羽の先端が最も高くなったとき100mを越えるものも多く、大型化に伴う落雷被害頻度の上昇も報告されています。落雷によって風車の羽が破損する事故も多発しており、その対策を急ぐ必要がありますが、風力発電所と落雷の関係についてはまだほとんど何もわかっていません。そこで、世界18カ国共同で風車への落雷およびその被害発生のメカニズムなどを解明する研究プロジェクトがEUを中心に行われれており、成果が期待されています。 高層建築への影響は建物の高さが高いほど落雷の頻度は高いことがわかっていて、高さ100メートル程度の送電鉄塔には1年に1度程度落雷します。一方、高さ333メートルの東京タワーでは年数回、カナダのトロントにある世界で一番高い553メートルのCNタワーでは年間約60回落雷するということです。 落雷の頻度が高くなっているのも問題ですが、高層建築への落雷はこれまで無かった新たな被害の発生が増えています。それはビルに設置された避雷針ではなく、壁面への直接落雷です。これまで、東京都庁や国会議事堂の壁面への落雷がありそれぞれ、破損した建材が落下しています。これまではビルのすぐ脇は避雷針で守られているので安全だと言われてきましたが、今後は壁面落雷による落下物に注意を払う必要があります。 雷の発生メカニズムはまだよくわかっていません。ただ、現象としては太陽熱によって地表が熱せられると上昇気流が生じ、水分を含んだ空気が上空5km以上に達すると気温が氷点下となって大気中の水分は細かい氷の粒へと変化します。それらが上空でぶつかり合うことによって摩擦電荷が発生し、やがて放電が発生します。それが地表に向かって激しく放たれると落雷となります。 雷の発生を予測して被害を避ける技術の現状ですが、まだ雷の発生日時場所規模を予測することは困難です。それは前述の通り雷発生のメカニズムについての知識がまだ不足しているためです。また、実際の気象状況を観測することによって行われる予測だけでなく、過去の雷に対する観測データや雷が発生するメカニズム、などを数式で表現した数値モデルによるコンピューター解析で雷の発生を予想する試みも行われています。
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