【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】
2013年3月2日
Chapter-434 アシュワガンダ
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インド原産のハーブ「アシュワガンダ」に含まれる生薬成分が抗ガン剤として非常に有効だという研究結果がいくつか報告されています。アシュワガンダは原産地インドでは民家の庭にも生えているような植物で高さは1.5メートルくらいになり、臭いが独特で、果実はサクランボに似ています。インド古来のアーユルヴェーダでは滋養強壮や長寿を含めあらゆる病気に効く万能薬として使用されていた記録が残っています。
アシュワガンダの薬効成分は少なくともウィザフェリンA、ウィザノンという2つの物質が確認されています。ウィザフェリンAはアシュワガンダの根から取り出すことに成功していて、乳がん細胞の浸潤・転移阻害、前立腺がんや子宮頸がんではアポトーシス誘導作用が観察されました。しかも、いずれも正常細胞にはまったく影響を与えなかったと言います。
ウィザフェリンAの作用機序ですが、細胞にも実は骨格があって、細胞膜の内側から網目状に細胞膜を裏打ちすることによって細胞の形を保っています。また、細胞が移動するときにも細胞骨格が組み替わって動くことによって細胞が変形しています。ウィザフェリンAは細胞骨格の成分を粉々に切り刻んでしまってがん細胞が形を維持したり、移動したりすることを妨害しているようでした。その結果、乳がん細胞は周辺の細胞の中に広がっていったり転移したりすることができなくなってしまいます。
また前立腺がん細胞を使った研究では別の作用メカニズムが発見されています。
前立腺がん細胞が活発に増殖するきっかけとしているのはアンドロゲン受容体と呼ばれるタンパク質です。このタンパク質は細胞質に存在しています。普段は不活発な状態なのですが、ジヒドロテストステロンという物質が結合すると核を刺激して遺伝子を活発化させ細胞増殖を促す作用があります。ここでウィザフェリンAと共に前立腺がん細胞を培養すると細胞増殖を活性化するシステムが抑制されると同時に、がん細胞でアポトーシスを誘導する因子が活性化され細胞は死滅してしまいます。
もう一つの抗がん作用物質ウィザノンは細胞分裂が起きるときに細胞の中に形成される紡錘体を破壊する作用です。これによって細胞分裂が失敗してがん細胞の増殖が抑制されます。
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