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【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】
2012年9月8日
Chapter-409 実験用ラットの起源がわかった
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アルビノ変異体と呼ばれる実験用シロネズミは、人間では日焼けや黒髪の原因であるメラニン色素の合成に必要なチロシナーゼという酵素を先天的に欠損してるために全身の毛が真っ白になります。また、眼球のメラニン色素も作り出すことができないので、眼底の血流が外から見え、赤い眼をしています。
このたび、京都大学の研究グループは、全世界で利用されているシロネズミ117系統のDNAを調べ、体毛を白くしている遺伝子の変異はすべての系統で共通のものであることを突き止めました。さらに、この変異は、まだら模様をもったラットに最初に生じた可能性が非常に高いことがわかりました。つまり、ラットが実験動物化された19世紀後半、あるいはそれ以前に、まだら模様のラットがまず利用され、その繁殖の過程でシロネズミが出現したと考えられます。
つまり、世界中で用いられている数百万頭の「シロネズミ」には、起源となる「シロネズミ」、言ってみれば「シロネズミのイブ」がいたことが分かったのです。けれど、このデータだけでは「まだらネズミ」と「シロネズミ」の進化上の関係が明確ではありませんので、さらに同様の手法で「まだらネズミ」の原因遺伝子を特定しました。その結果、すべての「シロネズミ」系統が、「まだらネズミ」が持っている遺伝子変異も併せ持っていることが分かりました。
以上の結果から、次の2点が考えられます。
1.「シロネズミ」の起源となる一頭のシロネズミのイブがいた。
2.その「シロネズミ」は、「まだらネズミ」から出現した。
すると新たな謎、「まだらネズミ」の起源が気になります。現時点での研究結果から「まだらネズミ」の起源は解明されていませんが、世界中の実験用ラット、愛玩用ラット、あるいは野生ラットのゲノムにおいて、まだら化する遺伝子を比較することで、まだら化する直前のラット系統が見つかるかもしれません。
一方で、古い文献調査によれば1914年にハーバード大学から出された論文中に「まだらネズミは、1900年ごろJapanese rat と呼ばれていた」という記述があります。江戸時代にはネズミをペットとして飼う文化があったことが多くの書物からわかっていますので、可能性としては日本でペットとして飼育している過程で遺伝子変異によって生じた「まだらネズミ」がヨーロッパ、アメリカへとわたり、実験用ラットの起源になった可能性もあります。
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サイエンスアゴラ2011(特設ページあります)
2012年11月10日(土) 13時〜14時30分
東京・お台場
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