【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】 北陸先端科学技術大学院大学などの研究者らが自然界に存在する銅と硫黄を多く含む鉱物のテトラへドライトが、400 ℃付近で高い熱電変換性能を示すことを発見しました。これまで知られていた400℃付近で使用できる熱電材料は鉛などの有害元素を多量に含有していましたが、新たに発見された材料は環境にやさしい熱電発電の実現に大きく寄与するものです。 テトラへドライトの高い熱電変換性能は、シリカガラスの半分程度という極端に低い格子熱伝導率に起因します。低い熱伝導率の理由を明らかにするため、大型放射光施設SPring-8の放射光を用いた粉末X線回折実験を行い、結晶構造と原子の振動を詳しく調べました。その結果三角形に結合した硫黄の中心に位置する銅原子が、三角形面に垂直な方向にゆっくりとした大振幅振動することを明らかにしました。この結果から、Cuの異常大振幅原子振動が低い熱伝導率の理由だと考えられます。 テトラへドライトが高い熱電変換性能を持つ理由が明らかになったことから、この性能を向上させると共に、高性能熱電材料の発見を目指して、今後は類似構造をもつ物質にも注目して材料開発・探索を進められることになります。 (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。)
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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。
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