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【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】
2012年10月27日
Chapter-416 錯視のメカニズム
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「誘導運動」と呼ばれる心理現象は、動いているものを見たときに起きる錯覚現象ですが、止まっている図形であっても、右に動いている背景の手前に置くと左に動いて見えるような、周辺が動いていればそれと反対方向に動いて見えるというものです。東京大学、京都大学、立命館大学の共同研究チームは、fMRIを使って、誘導運動錯覚を体験している際のボランティア協力者の大脳皮質の活動を記録して、誘導運動と相関して反応する中枢神経が存在するかどうかを調べました。
実験では、中心部に円盤状の領域、周辺部にそれを取り囲むようにドーナツ状の領域を用意し、周辺部には、一定の速度で運動するランダムパターン画像、中心部には白黒のストライプ模様を提示しました。周辺部は一定速度で運動していますので、中心部が静止していると、誘導運動が生じて、運動している周辺部と反対方向に中心部が動いて見えます。
fMRI 実験の結果、運動図形を提示したときに顕著に活動が高まる脳の部位を確認することができ、誘導運動知覚、つまり主観的な運動速度と脳の反応の間には相関があることが確認されました。この脳領域は背景の中から運動する対象だけを抜き出す計算をする上で重要な役割を果たしていることが推定されます。
別の錯視についての実験では、縦方向の誘導運動錯覚を生じることによって、中心部に与えた非常に遅い運動図形が左に動いているか右に動いているかがむしろ見やすくなる、感度が増強するという現象が発見されています。このことは心理学的なコントロールでものの見えやすさが変化することを示していて、健常者に比べて感度の低下で苦しむ視覚弱者に対して、心理学の力で感度改善を将来的に実現できる可能性があり、目のメカニズムや機能の進化を解き明かすことと共に今後の研究が期待されます。
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「(未定)」
2013年1月12日(土)10時30分〜11時30分
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会場地図
ダイナー・ヴォイニッチ 2013春
2012年3月16日(土) 夜
東京・阿佐ヶ谷 Loft A
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