【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】
2012年6月23日
Chapter-398 海底探査機
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1990年に完成した日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)の有人潜水調査船しんかい6500は、の現在日本で唯一の大深度有人潜水調査船です。完成から22年を経過しても、世界で2番目に深く潜ることのできる有人潜水艇として君臨し、日本近海の熱水域調査や東日本大震災の震源域近くの海底を調査するなど第一線で活躍しています。このたび、しんかい6500は約6億9000万円をかけて大改造を行い、推進装置を増強して俊敏に生まれ変わり沖縄県の伊是名(いぜな)海域等の熱水域で研究者を乗せた調査潜航を開始しました。
人を乗せて数千メートルの深さにまで潜ることのできる大深度有人潜水調査船は日本の他には米国、フランス、ロシアしか所有していない高度な技術を必要とする潜水艇ですが、近年は中国が7000メートルまで潜れる潜水艇を開発し、間もなく7000メートルの潜水実験を始めるなど、海底資源等の探査ができる有人潜水船や無人探査機に注目が集まっています。
改造前のしんかい6500は後方に大型プロペラ1基を備えていましたが、今回の改造で大型プロペラ1基の代わりに中型プロペラを左右側面に1機ずつ配置。さらに、機体後方上部に水平方向のプロペラを増設しました。電源のリチウムイオン電池を収納する容器もチタンからカーボンに変えることで軽量化を図り、推進装置等のモーターも取り替えました。コントローラーは、直感的な操作のできるジョイスティック方式を設置しました。従来は推進装置を1台ごとに操作していましたが、高度なコンピューター技術の採用で計6機の推進装置を連動して動かすことができるようになり、機動性が向上しました。その結果、その場で回転や真横への移動、従来の約半分の時間での急停止が可能になりました。
改造後に、静岡県沖ですでに約20回の潜水を行っていますが、今のところ大きな問題は見つかっていません。しんかい6500はすでに1300回程度の潜水を無事に行っており、今後は、純粋な研究だけでなく、巨大地震の震源域の検証などにも活躍が期待されています。
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