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ビジネスジャーナルで美味しい料理の科学と化学・・・「化学に恋するアピシウス」連載中です。 2017年4月29日 第651回 記憶は時間経過とともに海馬から大脳皮質に転送される 私達が日常生活で見たもの、聞いたもの、そのとき抱いた感情などは次々に脳に記憶されます。それらの記憶のことをエピソード記憶[1]と呼びます。 エピソード記憶は海馬で形成され、その出来事を経験した直後はその記憶は海馬から取り出されますが、数週間後には海馬にはその記憶は残っておらず、大脳に保存されていることがわかっています。このため、海馬から大脳に記憶が転送され、経験が知識へと書き換えられる過程が記憶の定着であると科学者は考えています。 理化学研究所の研究者らはこれまでわかっていなかった記憶の転送メカニズムについて研究を続けてきました。その結果、これまで大脳で記憶が形成されるには1週間以上の時間経過が必要であると考えられていましたが、実は大脳の前頭前皮質という部分には、経験の翌日には既にエピソード記憶が転送されている細胞があることを発見しました。ただし、この細胞は直後にそのことを思い出す際には活動していませんでした。ところが2週間後に同じ経験を思い出そうとしたときには、大脳のから記憶が引き出されていることがわかりました。 つまり、大脳で記憶を保持した細胞は記憶の形成直後には思い出すためには使用することが出来ず、時間経過とともに記憶を思い出すことが出来るように構造的に変化していた、ということです。なお、海馬と大脳の通信回路を遮断すると海馬から大脳への記憶の転送が行われないことも確認されました。 一方で経験直後に海馬で形成された記憶は約2週間が経過すると記憶を思い出す際には機能しなくなっていました。現在の研究段階ではこの思い出すことの出来ない海馬の記憶に意味があるのかどうかはわかりません。やがて海馬の記憶は完全に失われてしまうのか、あるいはこのまま長期にわたり保持され続けるのかもナゾです。 [1] エピソード記憶:出来事記憶あるいは生活記憶などとも呼ばれる。一回性の生活の流れをそのまま記憶すること。時間、空間および感情が組み込まれた複合的な記憶である。思い出という概念とほぼ一致する。事実の断片は思い出せるが、脈絡ある出来事としては思い出せないというタイプの健忘症状が存在することから、素材の記憶と脈絡の記憶は神経基盤が異なるのであろうと考えられている。脳損傷による健忘では、損傷時期に近い出来事の記憶ほどおかされやすく、古い出来事の記憶ほど保存されやすいことから、エピソード記憶は時間軸に沿って貯蔵されていると考えられているが、異論もある。 [南山堂医学大辞典第20版] 「ヴォイニッチの科学書」は2001年に前身「ムートン」として配信を開始した世界初の日本語によるインターネット科学ラジオ番組です。毎週ホットな話題や枯れた話題をわかりやすいフレーズに乗せて配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore やインターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。Webからの登録はこちらから。 有料版は株式会社音バンクが発行しているオーディオブック番組です。定期購読はFebe!のサイトからお申込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配布資料を提供しいます。 |
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