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ビジネスジャーナルで美味しい料理の科学と化学・・・「化学に恋するアピシウス」連載中です。 2017年5月6日 第652回 何がカンブリア爆発の引き金だったのか 今から5億年以上前の海には酸素がほとんど無く、今の魚を当時の海に入れればあっという間に窒息死したはずです。当時の海には泳ぎ回る生物などいませんでしたが、海底には微生物がネバネバのかたまりになって暮らしていました。カンブリア爆発は動く生物のいない、地球がとても静かだった時代に突然始まりました。 カンブリア爆発とは5億4000万年前の地球で、生物の体の構造が急速に変化した出来事をさします。カンブリア爆発で高い運動能力を備えた多種類の動物が突然現れ、人間につながる祖先が誕生したのもこの時代です。その中のいくつかの種類は強い歯と顎を持ち、ほかの動物をかみ砕いて食べる捕食者となりました。これが地球における肉食の始まりです。 現在の肉食の姿 このような突然の変化のきっかけは酸素濃度の変化だったようです。酸素を利用する生物と、酸素を利用しない生物を比較した場合、酸素を使う方が同じ食べ物からはるかに多くのエネルギーを取り出すことができます。 それによって強靱な筋肉、俊敏な神経系、防御や肉食に役立つ固い殻や歯などを作り出し、活発に活動できる生物が捕食者となりました。ですが、海水中の酸素濃度がどれくらいまで高まれば、そのような生物の変化が起こるのかはわかっていません。 過去の海水中酸素濃度はその当時に滞積した岩石を分析することで推定できます。多くの科学者がカンブリア爆発前後の酸素濃度を推定しました。ところが、地球全体の海水の酸素濃度が均一に上昇するはずはないので、その推計値は現在の酸素濃度の数パーセントから現在と同等まで論文ごとに様々でした。本当に科学者が知りたいのは、例えば、アノマロカリスとよばれる当時最強の捕食者が登場したまさにその瞬間その場所の海水中の酸素はどれくらいだったのか、ということなのです。 科学者はカンブリア紀の直前の限られた海域の酸素濃度が上昇し、ある限界値を超えたときに動物の生態、生活様式、体の大きさに劇的な変化が生じたと考えています。捕食者の突然の出現は静かな地球で平和に暮らしていた柔らかい体の動物たちにとっては大きな災難でした。 カナダ北東部のニューファンドランド島では柔らかな生き物たちの楽園から、硬い体の生き物の登場までの経過をたどることのできる地層が発見されています。その層の厚さはわずか1.2mしかありませんが、その間にある岩石がどれだけの時間経過を示しているかはよくわかっていません。最短ではほんの数百年、数千年である可能性も指摘されていますが、いずれにしても地球の46億年の歴史から比べれば一瞬ともいえる短い時間です。その短い間に旧式の柔らかい体を持ち、動くことのできないエディアカラ動物群はあっという間に姿を消したことがこの地層から読み取れます。 「ヴォイニッチの科学書」は2001年に前身「ムートン」として配信を開始した世界初の日本語によるインターネット科学ラジオ番組です。毎週ホットな話題や枯れた話題をわかりやすいフレーズに乗せて配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore やインターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。Webからの登録はこちらから。 有料版は株式会社音バンクが発行しているオーディオブック番組です。定期購読はFebe!のサイトからお申込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配布資料を提供しいます。 |
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