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ビジネスジャーナルで美味しい料理の科学と化学・・・「化学に恋するアピシウス」連載中です。 2017年5月20日 第654回 気候変動に反応した動物の移動が想像以上に早い 地球の気候が変化するとそれにともなって動物も植物も自分に適した環境を求めて生息地域を変えることがわかっています。現在は地球の温暖化によってあるものは北上し、あるものは標高の高いところを目指して大移動の真っ最中だと言われています。 また、気候の変化によって姿が変わってしまう生物もいます。生育に適した温暖な期間が伸びることによって背丈を伸ばし、巨木化する植物はその一例です。米国アラスカ州の北極圏のハンノキ(上写真)は19世紀は高さ90センチほどしかない樹木でしたが現在は180センチを超えるまで成長するようになりました。 また、蚊が媒介する病原生物のマラリアも気候変動の影響を受け、標高の高い所でも蚊が生息できるようになったため、コロンビアやエチオピアでは、高山地帯でもマラリアが発症するようになりました。 作物につく害虫が生息範囲を広げることによって農作物の収穫に影響が出る事態も頻発しています。米国ではセイバンモロコシという強力な雑草が急速に広がり、マメ類、トウモロコシなどの収穫に影響を与えています(下写真)。米国はかつて温暖化によって赤道周辺の湿潤な気候が大陸内部の広大な砂漠地帯を潤すため、温暖化は米国の農業に有利になるとされていましたが、樹木の北上よりも害虫や雑草の北上の方が早かったため、大打撃を受けそうな状況にあります。 世界各国の研究機関によって合計4000種以上の生物の生息範囲の継続的調査が行われていますが、うち約半分が移動中であることが分かっています。その移動速度は陸上生物で10年間で16キロメートル以上、海中の生物は60キロメートル以上も移動しており、10年で200キロメートル以上生息地域を変えている生物もいます。 すべての生物が同じペースで同じように移動するわけではありません。地域によっては先行して北上する生物の移動速度が遅く、あとから来る方が早いと生態系同士が追突している場合も確認されています。そんなことはこの数千年間起きたことが無かったので、何が起きるか予想もつきませんが、世界中で新たな交雑種が現れていることも確認されています。今のところ記録されているのは、カエル、サメ、チョウ、クマ、マスなどですが、これまで出会うことのなかった種が気候変動によって接触し、交雑することで、生態系に未知の衝撃を与えているかもしれません。 「ヴォイニッチの科学書」は2001年に前身「ムートン」として配信を開始した世界初の日本語によるインターネット科学ラジオ番組です。毎週ホットな話題や枯れた話題をわかりやすいフレーズに乗せて配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore やインターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。Webからの登録はこちらから。 有料版は株式会社音バンクが発行しているオーディオブック番組です。定期購読はFebe!のサイトからお申込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配布資料を提供しいます。 |
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