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ビジネスジャーナルで美味しい料理の科学と化学・・・「化学に恋するアピシウス」連載中です。 2017年5月27日 第655回 ATPは臭いだった 野生の動物にとって嗅覚はとても重要です。エサを見つけるのにも、敵の接近を察知するのにも、パートナーを見つけて子孫を残すためにも重要な感覚です。 遺伝子レベルで見ると人間は約400種類の臭いセンサーがあって、空気中の臭い物質が鼻の中に入ってくるのを待ち構えています。これらのセンサーからの情報が脳に伝えられて統合され、無限とも言える種類の脳の感覚を生み出し「好きな匂い」「危険な匂い」「異性の匂い」などが判断されます。 ところで、アデノシン三リン酸、略称ATPという分子があります(下図)。 私達の体の中でATPはエネルギー源や神経伝達物質として重要な役割を果たしています。ところが、水の中で生きている生物にとってはATPは臭いであるらしいことがわかっていました。 理化学研究所の研究チームはゼブラフィッシュを使ってATPが臭いであることのメカニズムの解明に取り組みました。ゼブラフィッシュを飼育している水槽にATPを入れるとゼブラフィッシュはATPの濃い場所を好んで泳ぎ回ります。また、ゼブラフィッシュの嗅覚部分を除去するとATPに反応しなくなりました。 この実験からATPが嗅覚に作用していることが明らかになりましたので、ATPによって活性化される嗅覚神経回路の解析を行ったところ、ATPは外側糸球体という脳における臭いを感じ取る特定の場所を活性化することが分かりました。 ATPを臭いとして感じるために必要な遺伝子は全ての魚類と両生類で共通に存在しますが、爬虫類、鳥類、哺乳類はこの仕組みを持っていませんでした。 さらに、ATPは血液に多く含まれています。サメやピラニアは血の匂いに寄ってきて獲物を仕留めるといわれていますが、今回の研究結果からサメを誘引する物質は血の中に含まれるATPである可能性が出てきました。であれば、ATPやを散布して人間がいない方向におびき寄せ、サメやピラニアから身を守れる可能性も考えられます。 「ヴォイニッチの科学書」は2001年に前身「ムートン」として配信を開始した世界初の日本語によるインターネット科学ラジオ番組です。毎週ホットな話題や枯れた話題をわかりやすいフレーズに乗せて配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore やインターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。Webからの登録はこちらから。 有料版は株式会社音バンクが発行しているオーディオブック番組です。定期購読はFebe!のサイトからお申込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配布資料を提供しいます。 |
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