【ヴォイニッチの科学書】　第656回　乳牛を巡る最近の動き


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2017年6月3日　第656回　乳牛を巡る最近の動き

北海道でジャガイモの不作が発生し、ポテトチップスが品薄になる「ポテチショック」が発生中ですが、今度は去年の台風を原因とする牧草不足で生乳がとれなくなっています。生乳は牛乳、バターやチーズなど乳製品の原材料です。北海道の牧草地はもともと減少傾向にありましたが、悪天候がとどめを刺した形です。　

牛のエサは輸入飼料で補うことができますが、エサが変わることによって牛の体調が変化することもありますし、高額な輸入飼料代を価格に転嫁できず、牛が維持できなくなる農家も出ています。もともと、北海道以外では小規模な農場が多く、北海道と同様の理由で酪農家が減っており、日本の生乳の北海道への依存度が高まっている状況での出来事です。ジャガイモ以上の問題となっています。　

一方、米国のベンチャー企業パーフェクトデイ社が酵母で牛乳を作る技術を開発しました。ビールは酵母が作りますが、それと同じ発想です。味や栄養はまったく牛乳と同じなのだそうです。乳牛のDNAから牛乳のタンパク質を作るために必要なDNAを探しだし、そのDNA配列をバターカップと名付けた酵母に注入するとバターカップは牛のように機能して糖からカゼインと乳清を作り出します。これに植物性の脂肪分などを添加することによって牛乳が完成します。

第655回　乳牛を巡る最近の動き

味も栄養価も同じですが、組み替え遺伝子は使われておらず、乳糖フリー、ホルモン剤・抗生物質・ステロイドフリー、コレステロールフリーなので健康に良く、牛乳より長期保存ができます。発酵に使った酵母は現在はフィルターで除去してあるそうですが、そのうち、日本酒やビールのように、ホワイト牛乳、濁り牛乳、白穂乃香牛乳なども出てもいいかもしれません。

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