2010年2月27日 生物の多様性の変化の中で、生物種が絶滅することは自然界では普通のことですが、現在の地球では人間の活動によって多くの生物種が絶滅の危機に瀕しています。生態系にダメージを加える人間の活動を列挙すればきりがありませんが、近年目立ってきた原因の一つにハイテク機器の生産に必要な貴重資源(レアメタルやレアアース)の採掘があります。 ニューカレドニアの場合 ニューカレドニアは南太平洋にある四国ほどの島でリゾート地として知られています。この島は大部分の地面が金属資源を多く含む地層でできていますので、金属資源の採掘が19世紀から行われていました。21世紀になると大企業による、大型機械を用いた大規模な資源の採掘が始まり、著しい環境破壊と多くの動植物の絶滅が発生しています。 南米の場合 南米のペルーは世界屈指の資源大国で、山林を破壊しての露天掘りによる金鉱山、銀鉱山の積極的な開発が行われています。金鉱山からは金を取り出したあとの岩石が年間8000万トンも川に廃棄されています。その悪影響を多くの生物や先住民が受けています。 最先端のIT機器の生産にはレアメタルやレアアースと呼ばれる入手の難しい物質が必要不可欠であり、それらの確保は大きなビジネスにつながるほか国家の産業を守ることにもつながります。 一方で、レアメタルやレアアースの入手が難しくなるなら、それらを使用しない製品を開発しようという研究も各社で進んでいます。たとえば、三菱電機はレアアースを使わずに電気自動車にも使用可能な高い出力を持つモーターを開発することに成功しました。一般的なモーターはケースの中で軸が回転する構造になっていますが、軸に永久磁石を固定し、ケース側に電磁石を設置して両者の反発で回転力を生み出します。高い磁力を得るために永久磁石にはネオジムやディスプロシウムなどのレアアースを使用しています。そこで三菱電機では、軸の側の磁石にも電磁石を使うことによってレアアースを使用しないモーターを開発しました。 ちょきりこきりヴォイニッチ ▼ウニはトゲで見る ウニには目がありませんが、ウニの視覚に関する新たな研究で、ウニはトゲに覆われた体全体が1つの眼のような働きをすることが確認されました。トゲに当たる光を感知し、その光の強度を比較して周囲の状況を知るようです。実際には眼を持たないウニですが、その視覚的能力はオウムガイやカブトガニなど眼を持つ海生の無脊柱動物に近いことも、今回の実験の結果から示唆されました。 ▼握手は究極の触診?!超高齢者の握力と死亡の関連 85歳以上の超高齢者を対象とした調査結果から、握力の減少と死亡に有意な相関があり、死亡リスクと握力の関係を調べると、握力を著しく失ったお年寄りの死亡リスクはそうでないお年寄りの2倍にも達することがわかりました。 ▼恐竜の全身の体色が初めて解明された およそ1億5500年前の羽毛恐竜アンキオルニス・ハックスレイの詳細な体色が明らかになりました。恐竜の全身の色が明らかになったのは初めてのことです。この恐竜はニワトリほどの大きさ、キツツキに似た外見で、その羽は白黒のまだら模様が目立ち、赤褐色、黒、灰色、白の複雑なパターンから成っていました。 今週の無料番組
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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。
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