2010年4月3日 次世代高機能MRI MRI (磁気共鳴画像)は、人間の体に傷をつけることなく生きた体の画像診断を行うことができ、医療分野で必須の診断機器として用いられ、癌・心臓疾患・脳疾患をはじめとする様々な疾患の早期診断を可能とし、治療法の決定に大きく貢献している装置です。 核融合の研究 21世紀のエネルギー環境問題の解決策の一つとして、核融合エネルギーの早期実現は重視されている研究課題です。今のところ、2030 年代に核融合発電原型炉を稼働させるための研究開発が進められています。原型炉の設計には、核融合反応を安定的に維持し続けることができることを実証しなければならず、そのための研究が世界のいくつかの核融合装置で進められています。特に、日本で開発された大型ヘリカル装置は核融合発電の有効性を実証するために必要な定常性を照明する世界唯一の装置で、このヘリカル方式が原型炉の要件を満たすことを示すことを実証する研究が計画されています。 最近の研究で地下数kmもの深い場所にまで莫大な微生物生命圏が存在することが分かってきました。とくに海底下の地層に住む生物は注目を集めていて、「ジオバイオテクノロジー」と名付けられた、そのような生物による物質循環のメカニズムを理解しようとする研究が盛んです。このような物質循環は現在の地球環境だけでなく、地球上でのこれまでの生物進化にも大きく関わっている可能性があり、地下深部を含めて循環する炭素を中心とした物質循環の実体とその進化について検証することを通じて、いままで主に地上の生物を中心に検討されてきた地球と生物の相関関係の枠組みを大きく変更することになるものと思われます。 世界最大の直線加速器の建設 アジア・欧州・北米3極の素粒子物理研究者の国際協力による、世界最大の直線加速器建設の計画があります。国際リニアコライダー(ILC)と呼ばれるこの装置が完成すれば、素粒子同士である電子と陽電子の衝突により全エネルギーが素粒子反応に用いられ、この特性により新しい物理原理を直接決定することができものと思われます。さらに、極初期の宇宙の状態を再現し、宇宙の真空の構造、暗黒物質の正体、宇宙初期当時の物理法則を解明することで宇宙の進化の大きな謎に迫ります。建設総額は約6700億円、運転期経費は年間約200億円と見積もられ、研究に参加する各国で分担されます。 30m 光赤外線望遠鏡計画 1999年に完成したすばる望遠鏡は口径8.2mで、現在も様々な発見を続けていますが、2020 年代には望遠鏡は主役が口径30mクラスになるものと思われ、30mクラスの光赤外線望遠鏡をハワイに国際協力で建設することが計画されています。 ▼大型低温重力波望遠鏡計画 アインシュタインは一般相対論で光速で伝わる重力波を予言しました。重力波の存在は確実と考えられているものの、まだ検出に成功した人はいません。これまで私たちは宇宙を観測する際に赤外線や紫外線、可視光線や電波などの電磁波をもっぱら使用していました。ところが、重力波は宇宙を観測するという観点からは類似する観測対象であるにもかかわらず、電磁波とは全く独立な情報が重力波によって得られます。人類がアンテナや受信機を発明して可視光以外の電磁波をキャッチすることができるようになって、宇宙に対する見方が劇的に変化し、多角化したのと同様に、重力波を観測する装置を発明することができれば、新たな天文学の創成を意味します。 今週の無料番組
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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。
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